2018.11.27 Tue UPDATE INTERVIEW

朝ドラでも話題!原田知世、4年半ぶりのオリジナル・アルバムで紡ぐ鮮やかで深淵な「青」

1980年代より最前線で活躍、透明感のあるその存在感で多くの人を魅了させる、原田知世。4年半ぶりとなるオリジナル・アルバムでは、新たなサウンド・アプローチにも挑戦。女優だけでなく、ミュージシャンとしてもさらに魅力を磨いた姿を響かせる!

2018年は「青」で始まり「青」で締めくくる


――2018年は「朝ドラ」にご出演されて、大きな話題になりましたね?

原田さん ドラマでは20代〜61歳で亡くなるまでを演じましたが、これだけ長い年代を演じたのは初めてで、またユーモラスな要素もある役柄も珍しかったので、愛着を持って演じました。撮影も楽しかったです。

――演技のなかで披露された「モノマネ」もキュートでした

原田さん (笑)。最初はどうなるか?と思ったのですが、思い切って挑戦してみたら、ひとつ演技のハードルを超えられたというか(笑)。モノマネをするのが、楽しくなってきましたね。

――ドラマの撮影をしながら、今回のアルバム制作をされていたと思うのですが、今回の演技が音楽に影響をもたらした部分は?

原田さん この1年、演技と音楽を両立させて活動していたので、少なからずドラマの影響はあると思います。

――タイトル『 L’Heure Bleue (ルール・ブルー)』にも「青」がついていますし。

原田さん きっと後で振り返ると、思い出になりますよね。2018年は「青」で始まり、「青」で締めくくるのも面白いのではないのかなって(笑)。

――原田さんにとって「青」とは、どんな印象の色なのでしょう?

原田さん 「青」と言ってまず思い浮かぶのは、空の色ですね。ひとことでそれを表現しますが、空を見上げるとそこにはいろんな色彩の「青」があるという…。

今までとは「違う」音を追求したかった

――また、この作品は4年半ぶりのオリジナル・アルバムになります。ここ最近は(セルフを含む)カバー曲を多く発表してきた印象ですが、その経験で音楽に向き合う姿勢に変化はありましたか?

原田さん カバー・アルバムに続けて取り組んだことで、改めて「歌う」ことが楽しく思えたんです。素晴らしいミュージシャンの方々に参加していただいて、生音で制作するという、とても贅沢な環境で音楽と向き合えたおかげですね。でも、今回のアルバムは、これまでとは異なるものをやってみたくなったんです。なので、打ち込みの音をメインに制作しました。

――確かに、最近の原田さんの音楽は、シンプルなアコースティックという印象が強いですね。

原田さん そうですね。温かくて、ホッとするような感じの。でも、今はそういう音楽を作るのはちょっと違うかなという心境だったので、パッと切り替えてみようと思いました。

――印象としては1990年代にトーレ・ヨハンソンさんとタッグを組んでいた頃の、ポップで開放的な印象な気がしましたが?

原田さん そうですね。何か新しいことを始めた時期の頃の音に通じる部分があるのかもしれないです。

――また、今回も伊藤ゴローさんとタッグを組んで制作されていますね

原田さん 映画のサウンドトラックを聴いているような気分になれるアルバムを作りたくて、今回はサウンドやメロディの調整に時間をかけましたね。私の声が一番心地よく響く場所を探すために、時には全部のパートを変えたりすることもありました。そのいっぽうで、歌がメインというよりはサウンド全体を引き立たせるための「声」として、完成させたものもありましたし。繊細でありながらも、とても楽しい作業でした。

大人のファンタジーを歌うことができた

――歌詞に関しては、高橋久美子さん(元チャットモンチー)、堀込高樹さん(KIRINJI)、土岐麻子さんなど、そうそうたるミュージシャンの方々が担当されましたが?

原田さん レコード会社の担当ディレクターさんが、今の私に会うのでは?とご提案いただいた方々のなかから、お願いしてみたいと思った方にオファーしました。

――高橋さんの手がけた「銀河絵日記」は、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」をモチーフにしたとても幻想的な世界で、印象的ですね。

原田さん 高橋さんの歌詞は、子どもでも耳に入ってくるようなわかりやすい言葉で、それが最大限によく響くメロディがのった楽曲になったなと思いました。また、じっくり歌詞を読んでいくと、心にしみる大切なメッセージも散りばめられています。大人向けのファンタジーの曲でもあることに気づかされたんです。その絶妙なさじ加減は、高橋さんだからこそ表現できるのだと思いました。

――この楽曲のミュージック・ビデオも素敵ですね。イラストレーターの前田ひさえさんの作品で構成されたアニメーションとの世界観が、現実と幻想の狭間をふんわり漂っているような印象で。

原田さん 楽曲が素晴らしい出来だったので、映像も大切に制作したいと思って、いろんなアイデアを考えた結果、前田さんにお願いしました。前田さんのイラストは、鉛筆をベースに描かれるものが多いのですが、柔らかさと強さが共存しているようなイメージで、それが楽曲にもあうと思ったのです。結果、とても素晴らしい仕上がりになって、本当に感謝していますね。

その瞬間を楽しんで生きることが大切

――アルバムには原田さん作詞の楽曲も収録。「Hello」もまた、幻想的な風景が思い浮かぶ1曲ですね

原田さん 以前、スキューバダイビングをしたことがあり、水中から見上げた時に見えた光、音のない世界、そこに自分がすんなりといる状態を音楽にしてみたいと考えていたんです。このメロディを聴いた時、それが表現できると思って、書き下ろしました。空に向かって羽ばたいていくイメージ、空気感を表現できたのかなと思います。

――もう1曲の「夢の途中」は、今までの原田さんの音楽にはない雰囲気ですよね。低音と打ち込みが、不思議な世界観を描きだしています

原田さん 最初にこの楽曲のデモを聴いた段階で、面白い!って思いましたね。AメロとBメロの雰囲気が全く異なっていて、そこに自分の歌詞をのせてみたいと。歌詞に関しては、自分の過去を振り返ってみて、いろんな出来事があったけど、そのすべてが愛おしく感じてきていて。それと同時に未来はまだ続いている、夢の途中であるという思いを歌えたらいいなと思いました。

――人生の「折り返し地点」に到達したという心境があるのでしょうか?

原田さん 昨年、デビュー35周年を終えて、年齢も50代に入ったことで、いい感じに肩の力が抜けている状態になれましたね。

――Men’s JOKER PREMIUMの読者は30代がメインなんですが、30代の時と今では考え方や生きるスピードに違いはありますか?

原田さん それはあると思います。でも30代の頃って、自分が50歳になった頃のことなんて全く想像していなかったですし、また、していなくてよかったと思います。将来のことを考えても、その通りにならないことも多いですから。その瞬間にできることを楽しんで取り組むことが、何より大切なのではないかなと思いますね。

適度な「緊張感」を持ち続けて

――これから挑戦してみたいことはありますか?

原田さん 音楽にお芝居、ずっと同じことをやっているように思われているのかもしれないですが、毎回新しいお仕事をさせていただくたびに、いまだにデビュー当時の新鮮な気分になるんです。だから、これから違う分野に挑戦したいという気持ちはないですね。ひとつひとつのことを丁寧に続けていくだけです。

――デビュー当時と同じように緊張もされるのですか?

原田さん もちろんです。でも今は「余計な」緊張はしなくなりましたね。どれも人生で一回限りしか経験できないことだと思うので、緊張だけですべてを終わらせてしまうのはもったいない。ちゃんとひとつひとつに向き合っていたいから、適度にリラックスしながら、取り組めるようになれました。

――今回のアルバムを作ったことで、音楽的にまた新たな可能性が見えましたか?

原田さん 私の場合、ライヴを終えた後でないと、次の作品という気持ちが生まれないですね。まずはライヴを素晴らしいものにすること。それに今は集中したいです。

――では1月のNHKホールでの公演が目標ですね?

原田さん そうですね。今回は一夜限りの公演。音楽だけでなく、演出を含めて、素晴らしいものをみなさんにお見せできるように、頑張ります。

 

『L’Heure Bleue』(初回限定盤)

ユニバーサル
3700円(CD+DVD)
11月28日発売

『L’Heure Bleue』(通常盤)

ユニバーサル
3000円(CD)
11月28日発売

タイトルは、英語で「Blue Hour」という意味で、日の出前と日の入り後に発生する、空が神秘的な濃い青色に染まる時間帯のことをさす。透明感と優しさに溢れた彼女の声と、プログラミングと生楽器が絶妙にブレンドしたサウンドは、1日の、そして人生のとっておきの時間に聴きたくなる。初回限定盤は、「銀河絵日記 – piano version」を追加収録 、さらに「銀河絵日記」のミュージック・ビデオを収録したDVDに加え、スリーヴケースと四つ折りミニ・ポスター付パッケージとなる豪華仕様。

PROFILE
長崎県生まれ。1983年、映画『時をかける少女』でスクリーンデビュー。以降も鈴木慶一、トーレ・ヨハンソン、伊藤ゴローなど、そうそうたる顔ぶれが楽曲制作に関わり、数多くのヒット曲を世に送り出す。2019年1月28日には東京・NHKホールにて、アルバム発売記念コンサート「原田知世 Special Concert 2019 “L’Heure Bleue”」を開催。

写真:中野 理
スタイリング:チヨ
ヘアメイク:小林雄美
取材・文:松永尚久

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