ヤンキー映画の金字塔『ガチバン』、裏社会のリアルを描いた『闇金ドッグス』に続く最新シリーズ『ボーダーライン』の続編『ダブルドライブ ~狼の掟絆~』が、いよいよ8月25日(土)よりシネマート新宿ほかにて公開される。本作は、監督に『ガチバン』『闇金ドッグス』などを多数手掛ける元木隆史を抜擢。脚本をドラマ『民王』『ナニワ銭道』などで知られる池谷雅夫が手掛ける注目のクライム・カーアクションムービーだ。今回はその公開を記念し、シリーズ初の女性キャラでヒロインの中村かえで役を演じた小宮有紗さんが登場! 自身初挑戦だったという元ヤン娘を演じた本作の見所とは!?
——まずは本作『ダブルドライブ~狼の掟~』がどんな作品なのか、教えてください。
小宮有紗(以下、小宮) 「前作となる映画『ボーダーライン』の主人公・我妻アベル(演:藤田玲)がとある田舎町へ逃げてきて、私が演じる中村かえでに出会うところから物語は始まります。そこに9月22日に上映される『ダブルドライブ ~龍の絆~』の主人公・五十嵐純也(演:佐藤流司)や兄貴分の村上大児(演:駒木根隆介)が絡んできて……。登場人物がそれぞれの友情や愛情を持っているからこそ、絡まってしまった人間関係が描かれていて、観ているこちらの心が痛むようなシーンがたくさんありますね。」
——直接的な暴力シーンではなく、気持ちのすれ違いからくる切なさですよね。かえでは、見た目も派手な元ヤン娘という小宮さんとは真反対のイメージ。演じてみてどうでしたか?
小宮 「これまで演じたことのない新境地だったので、最初に台本を頂いた時にも普段使わないような言葉遣いだったりで、どうしようかと思いました(笑)」
——以前、MJ本誌のSOME GIRLにご登場頂いた際は、『ラブライブ!サンシャイン!!』で生徒会長の黒澤ダイヤ役を演じていた時だったので、今回の役柄はMJ読者的にも驚きでしょうね。
小宮 「たしかに!(笑)。なので、いわゆる“元ヤン”っていうのがどういう人物像なのかネットで検索したりして(笑)。すると検索予想で“金髪”とかビジュアルに関するワードが出てきたりして。それで撮影前は黒髪だったんですが、マネージャーさんと相談して役のイメージに近づけるために、少し明るめの髪色に変えて撮影に臨みました。」
——見た目から役作りしたワケですね。演技面で何か参考にしたものなどはありましたか?
小宮 「具体的なものはないんですが、前作『ボーダーライン』を観て、このシリーズ共通の世界観や、今までアベルがどういう人たちと繋がってきたのかを感じることができたのは、役作りにおいて大きかったですね。」
——かなでは、シリーズ初の女性キャラということでアベルとの恋模様も期待される一方、大児とアベルの関係性を描く上での重要なキーパーソンでもありますよね。
小宮 「かなでは自分が間違ってないと思ったらまっすぐ自分を曲げず向かっていく子なので、アベルにどんどん惹かれていく自分がいながらも、安全に守られているのは大児のおかげだという感謝の気持ちもあって、その2つの間での葛藤もあって。」
——地元の田舎町から出たことのない、かなでや純也からしたら、外の世界から来たアベルは、それだけで眩しい存在だったというのもありますよね。
小宮 「ですね。私も栃木県出身なのでその気持ちは分かるんですよ。なんせ初めて東京の渋谷に来た時も、109なんて怖くて近寄れなかったですもん! その時に今の事務所にスカウトされたんですけど、『あぁ、コレはもう無事に家に帰れないかも……』って思いましたから(笑)」
——まさに地方出身者あるあるですね(笑)。ところで、小宮さんは座右の銘として“とにかくやってみる!”を挙げているそうですが、今作で初チャレンジってありましたか?
小宮 「“ケンカ腰で会話する”っていう演技の経験が今までなかったので、どう演じれば相手にナメられないか!? っていう部分は意識しましたね。私の場合、演技のテンションが上がると自然と声のトーンが高くなっちゃうので、それで可愛い感じにならないよう、声のトーンを抑えるようにメッチャ気を付けて。そういう意味ではやはり“ヤンキー感を出す”というのが1番のチャレンジだったんじゃないかなと。」
——他に見所としては、冒頭からいきなりド迫力で始まるカーアクション・シーンがありますよね。
小宮 「メッチャ格好いいですよね! 男性は好きなんじゃないですか? このシリーズは作品解説にも車種までちゃんと明記されていますし、劇中でも純也が熱く車の性能について説明していたりと車にはかなりこだわっています。」
——劇中でアベルが乗る1999年日産スカイラインGT-R(5代目 BNR34型)を筆頭に、1973シボレー・コルベット スティングレイ、ホンダ シビックEG6、日産シルビアE-PS13などマニア垂涎の名車が登場します。
小宮 「私もGT-Rが好きなんですよ♪ 父が車好きで、『頭文字D』や『湾岸ミッドナイト』などのマンガを読んで育ってきたってのもありますし、実際私が小・中学生の頃に父が乗っていたのもGT-Rだったので、今回はテンションが上がりましたね!」
——とはいえ、小宮さん自身は劇中でほぼ車との絡みのシーンはないという(笑)
小宮 「そう、残念なことにまったく絡んでないんですよぉ~(悲)。アベルとの出会いのシーンも私自身は車に乗らないですし。なので、編集が終わって仕上がった状態で初めて冒頭のカーアクション・シーンを観たんですが、やっぱり格好良かったですね♡」
——あとは、弟の仇であるアベルを執拗に追い続ける広澤狂介(演:おぐにあきひろ)の狂気を感じさせる演技も見モノですよね。
小宮 「私、完成した映画を最初にiPhoneで観たんですけど、あのサイズでもメッチャ怖いんですよ! おぐにさんとは、私が19歳の時に舞台『ロボティックスノーツ』で共演していたので、5年ぶりくらいにご一緒させていただいたんですが、眉毛も剃っちゃっているし「えっ、全然違うじゃないですか!? チョー怖いです!」って思わず言っちゃいました(苦笑)」
——あのフラットなテンションの演技とも相まって、ヤバイ奴の匂いがプンプンしていましたね。
小宮 「私もいつか、ああいう役に挑戦してみたいなとは思いました。二面性があるような役は経験があるんですが、狂介のように裏表なくヤバイ奴って役は演じたことがないので、いつか挑戦してみたいですね。その時は眉毛も……(笑)」
——そこはそのままで!(笑)。とはいえ、そんな小宮さんも一度は見てみたいですね。では、改めまして、小宮さん的本作一番の見所は?
小宮 「劇中でアベルが戦う時って、常に誰かを守ったり助けようとする時なんですよね。そこで描かれる男同士の友情というのが、本作で一番の見所じゃないかなって思っています。」
——余計なことを言わず、ここぞって場面で男を見せるっていうのが格好いいですよね。
小宮 「そう、めちゃくちゃ格好いいんです! でもその格好良さや男同士の友情も、男女で観方が違うと思うんですよね。なのでカップルで映画を観に行き、お互いどう感じたかを観終わった後に話し合うなんてのもアリかなと。あと登場人物が全員違う個性を持っていて、それぞれの考え方や想いが絡み合っている物語は進んでいくので、それぞれの視点に立ちつつ何度も観てもらえたら、より楽しんでもらえるのではと思います。」
——では、ここらで記事を読んでいる皆さんへメッセージをお願いします!
小宮 「今回は元ヤンという初挑戦の役どころだったんですが、かえで自身は素直で芯の強い女の子。でも女の子だから弱い部分も持ち合わせているし、時には強がってしまったりもして。そういった感情の動きに注目してもらいつつ、必死に何かのために、誰かのためにと動こうとしているかなでの姿を観てもらえたら嬉しいです。」
——ありがとうございます! 最後にオマケでファッションの質問もひとつ。実はMJも最近は男っぽいスタイルに注目しているのですが、やはり小宮さんも、アベルのような武骨なファッションがお好きですか?
小宮 「アベルのスタイリングって正直シンプルな分、誤魔化しがきかなくて着こなすのが難しそう。だからこそオシャレに着こなせたらすごく素敵だなとも思います。例えば、街で白の半袖トップスをサラっと着こなしている男性を見ると、つい見ちゃったりしますね♡」
——となるとアベルの着こなしなんて理想的じゃないですか!
小宮 「たしかに!! じゃあこの映画を観て、ファッションの参考にもしてもらえれば(笑)」
過去に家族同然の仲間たちを次々と残虐したヤクザの広澤を殺してしまった我妻アベル(藤田玲)は、他に頼る当てもなく、少年院時代に世話になった兄貴分の村上大児の元を訪れた。大児は「サガミ連合」という名の愚連隊を率いており、そのメンバーの一人、五十嵐純也(佐藤流司)と出合ったアベルは、お互い車好きな事もあって意気投合する。ある日、大麻の取引に失敗した純矢はペナルティとして多額の借金を背負い闇金に手を染める羽目に。闇金会社社長・塩田の苛烈な取り立てに苦しむ純矢、一方で、兄を殺され復讐を誓う広澤の弟・狂介はアベルの行方を追っていて…。
出演:藤田玲 佐藤流司 小宮有紗
監督:元木隆史
脚本:池谷雅夫
企画・配給:AMGエンタテインメント
製作:「ダブルドライブ ~狼の掟&龍の絆~」製作委員会
公式サイト:doubledrive-movie.com
©2018「ダブルドライブ ~狼の掟&龍の絆~」製作委員会
【プロフィール】
こみや・ありさ 1994年2月5日生まれ、栃木県出身。2010年に女優としてデビュー。2012年、スーパー戦隊シリーズ第36作『特命戦隊ゴーバスターズ』の宇佐見ヨーコ/イエローバスター(声)役でテレビドラマ初出演。2015年にアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』で黒澤ダイヤ役を演じて声優デビュー。同時にAqoursとしての活動をスタート。現在は声優/女優として活躍中。2018年秋に劇場公開の映画『お前ら全員めんどくさい!』に出演。
オフィシャルサイト https://komiya-arisa.net
公式Twitter @box_komiyaarisa
【衣装】アシンメトリーオーバーレイトップ5万5000円、スリットワイドサテンパンツ4万3000円/ともにSHIROMA(GUSUCUMA)、サンダル7900円/FLAG-J(FLAG-J 渋谷109店)、イヤリング2000円/GOLDY
【お問い合わせ先】
GUSUCUMA/東京都渋谷区神宮前4-24-20/03-6804-5865
FLAG-J 渋谷109店/東京都渋谷区道玄坂2-29-1 SHIBUYA109 2階/03-3477-5052
GOLDY/東京都渋谷区神宮前3-35-19 バティマン池田 5階/03-6447-4180
写真:中野 理/スタイリスト:鬼塚美代子(アンジュ)ヘアメイク:唐澤知子(THE FACE MAKE OFFICE)/取材・文:TOMMY