2017.06.05 Mon UPDATE INTERVIEW

EXILE/FANTASTICSのリーダー、佐藤大樹が挑む主演舞台「錆色のアーマ」/前編

戦国最強の鉄砲傭兵集団・雑賀衆(さいかしゅう)と信長の関係をモデルに男たちの生き様を描いた「錆色のアーマ」は、舞台からアニメなどのメディアミクス展開に挑む完全オリジナルストーリー。この前代未聞のプロジェクトの中で、伝説の鉄砲使い・孫一(まごいち)を演じるEXILE/FANTASTICSの佐藤大樹に意気込みを聞いた。前編は舞台経験と先輩からのアドバイスについてお届け。すごく真面目だけど、意外に“貪欲”で“したたか”だという彼の主人公気質が明らかに!?

――歴史上の人物がモデルの役を演じられますが、孫一について事前に何かご存知でしたか?
佐藤:全然詳しくなかったです。ゲームのキャラクターになるくらい有名だってことは薄々知っていたんですけど、僕はあんまりゲームをしてこなかったタイプで…。今回ちゃんと調べたら、代々継がれた名前ってことで、“孫一”って人は詳しいこともそんなに分かっていないと。当然ビジュアル化されたイメージも太い眉だったり、女だったりと(笑)、ほんといろいろで…演じるにあたっても「ある意味自由だな」って思いました。

――(笑)。そんな中で「錆色のアーマ」の台本を実際に読んだ感想を教えてください。
佐藤:歴史モノって難しそうなイメージがあったんですが、読んでみたらまったくそんなことなくて。史実に基いてはいますけど、ファンタジーの世界観が強いし、人間模様も面白いから、ワクワクして一気に読んじゃいました。僕の演じる孫一は感情的で、よく笑い、よく泣くんですよ。情熱だけですぐ行動してしまうわりに、繊細でナイーブな一面を持っていて、過去の思いに囚われていたり、ある野望も隠し持っていたりする。でも単純に仲間のことが好きで、周りのみんなが自然と支えたくなる魅力的な“お頭”ですね。

――周りのキャストの方々は、信長役の増田俊樹さんをはじめ皆さん年上ですね。
佐藤:そうなんですよ! この座組の最年少なのに初めて“座長”という立場になるし、役も“お頭”でみんなを引っ張っていかなきゃいけないのは、僕にとって本当に新境地です。今まで“新人”や“後からグループに入る”役が多かったので、すごく苦戦するんだろうなって思ったんですけど、人とコミュニケーションを取るのは大好きなので、ただがむしゃらに頑張って、一日でも早く馴染めるようにしていきたいです。

――初座長を務めるにあたって、アドバイスを受けたり、お手本にしたいと思った方は?
佐藤:座長に関しては、『ワイルド・ヒーローズ』(2015年/日本テレビ系)のTAKAHIROさんの振る舞いがすごく印象深いですね。あれこそ“ザ・座長”だろうってくらい現場を盛り上げて、周りのスタッフさんを全員ファンにしちゃっていましたから! あとやっぱり舞台となると、橘ケンチさん(EXILE)ですね。すごく詳しいですし、普段からプライベートで一緒に舞台を観に誘ってくださるので、よくお話させていただいてます。それに劇団を立ち上げられたMATSUさん(松本利夫)さんも、普段からよく率直なアドバイスを聞かせてくださるので大好きです。

――言われるのを待つより、自分から聞きに行くタイプですか?
佐藤:ですね! やっぱり自分はこうだと思っていても、他人の意見が違うことってどうしてもあるじゃないですか。だから客観的に観てくれる先輩や周りのスタッフさんに率直な意見を言ってもらうようにしています。「褒めてください」じゃなくて、「ダメ出ししてください」っていう感じ(笑)。だから厳しい舞台の稽古とかも、自分は向いていると思います。

――稽古はこれからと伺いましたが、4年ぶり3作目の稽古を前に心境はいかがですか?
佐藤:僕が初舞台を踏んだのが、㭴田正剛さん(劇団方南ぐみ)演出の『あたっくNo.1』という作品だったんですが、周りの方がベテランばかりの中に1人重要な役で飛び込んで行くみたいな、貴重な経験をさせてもらったんです。右も左も分からない中でとりあえずがむしゃらに頑張るっていう初心はそこで育てられたと思いますね。2作目の『ムッシュ!』で演じた役も、まだ言えないんですけど最終的に今回演じる孫一と共通点のある役なので、そのときの感覚が活かせそうな気がしますね。でもほんと、そこから4年ぶりの舞台なのでドキドキしています。

――結構ブランクがありますね。
佐藤:実はこの4年の間は映像の仕事が続いていて、「あー、僕は映像でやっていくんだな」って勝手に思い始めていたので、主演のお話を頂いたときはびっくりしました。映像の難しさと舞台の難しさは違うというか、舞台は2時間ぶっ通しで休む間もないですし、僕がやるなら誰よりも稽古しないと追いつかないので、いろんな意味で試されるなって。でも、今回久々に厚い台本を頂いたときに、「あーやっぱり舞台も好きなんだな自分…」って思ったんですよね。もともとお芝居の楽しさを教えてくれたのが舞台で、特に『あたっくNo.1』は本当に思い入れが深いので、当時の演出家さんにも報告しましたし、頑張ることで何か恩返しできたらいいなって思っています。

――この4年の間に、ご自身が変わった感じはありますか?
佐藤:今まで踏んだ舞台はもう本当に始めたてだったので、言われたことに対して「ハイ」と応えて頑張ることしかできなかったんですけど、今回は演出家の方も比較的年齢が近くて、「一緒に作り上げて行こう」という雰囲気なので、むしろ自分の意見をどんどん出していこうかなって思っています。この4年で少しは自信もついたし、もう「ワガママだなこいつ」って思われてもいいくらい積極的に意見を言っていこうかと。それくらいしないと得るものも得られないのかなっていう思いでやっていきたいですね。

――そういう考えになったのは、いつ頃から?
佐藤:うーん…映像の現場で、先輩たちがそうしているのを見て、「ああそういう作り方もあるんだな~」と思ってからですかね。特に『HiGH&LOW』シリーズは自分たちで立ち上げたプロジェクトということもあって、みんな少しでも良くなるようにすごい必死にやっていて。監督に「これはもっとこうなんじゃないですか」って言ってみんなで会議したり…そういうのを間近で見ているうちに、「あ、みんなで作るのがお芝居なんだな~」と思ったんですよ。

――そんな佐藤さんの中で、今回主演というポジションはかなり大きいですか?
佐藤:…実は僕、「一歩でも前に出たい」っていうタイプで、いつか絶対自分が主役の作品をやりたいと思っていたんですよ。その気持ちが大きいから、よく先輩方にも“貪欲”とか“したたか”とか言われるんですけど(笑)。そんな僕が今回本当に座長をやったら、もう虜になっちゃって、「もう脇はやりません!」みたいな生意気なことを言い出すかもしれません(笑)。

――それはいろんな意味で展開が楽しみですね(笑)。
佐藤:はい(笑)。小さい頃からよく、「東京ドームシティで僕と握手!」みたいなのにも積極的に参加して、戦隊ヒーローの格好して写真を撮ってもらってたんですけど、そのときも絶対レッドを選んでましたもん。その頃から目立ちたがり屋だったんでしょうね(笑)。

後編に続く。

 

佐藤大樹
さとう・たいき

1995年1月25日生まれ、埼玉県出身。2014年の「EXILE PERFORMER BATTLE AUDITION」に合格してEXILEに加入。2017年に1月より始動したFANTASTICSのリーダーも務める。主な出演作にドラマ『シュガーレス』『仮面ティーチャー』『ワイルド・ヒーローズ』、ドラマ/映画『HiGH&LOW』シリーズ、舞台『あたっくNo.1』『ムッシュ!』など。

 

◆公演情報
「錆色のアーマ」
東京公演:2017年6月8日(木)~18日(日)
@AiiA 2.5 Theater Tokyo(http://aiia-theater.com/

大阪公演:2017年6月22日(木)~25日(日)
@森ノ宮ピロティホール(http://www.piloti-hall.jp/

◆STAFF&CAST
原案:「錆色のアーマ」プロジェクト
脚本:なるせゆうせい
演出:元吉庸泰
出演:佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)、増田俊樹/
荒木健太朗、永田崇人、平田裕一郎、章平、神里優希、崎山つばさ/栩原楽人、市瀬秀和、輝馬、他

◆あらすじ
鉄砲ひとつで戦乱の世に名乗りを上げた孫一と、その鉄砲技術を手中に収め、天を食らおうとする信長。村を襲われ支配下に置かれた孫一率いる雑賀衆は、信長を憎しみ嫌うが、次第にその思惑と悲しみを知りともに天下統一の夢を抱きだす。しかし、一向宗と明智光秀の信長暗殺計画により、分断された2人は、本能寺へ向かうが…。果たして、孫一と信長は、各々が目指す”天”に辿り着くことができるのか?

◆公式サイト:http://www.nelke.co.jp/stage/rusted_armors/
◆公式Twitter:@rusted_armors

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