戦国最強の鉄砲傭兵集団・雑賀衆と信長の関係をモデルに男たちの生き様を描いた「錆色のアーマ」は、舞台からアニメなどのメディアミクス展開に挑む完全オリジナルストーリー。この前代未聞のプロジェクトの中で、伝説の鉄砲使い・孫一を演じるEXILE/FANTASTICSの佐藤大樹に意気込みを聞いた。後編は役へのアプローチに垣間見える几帳面&メモ魔な素顔と、ほぼ初挑戦の歌や殺陣への並々ならぬ意気込みを。2.5次元舞台の衣裳にテンションはアゲアゲ!?
前編の記事はコチラ>>>http://mensjoker.jp/23154
――先日、FANTASTICSの夢者修行も無事終えられましたが、2018年まで個々にEXILEが力を蓄えている段階からFANTASTICS結成までの心境を教えてください。
佐藤:毎日、自分にできることを探していました。ちょうど『HiGH&LOW』っていう作品があったので、常にお芝居には触れられていたのですが。当時はそれこそ演技のレッスンを受けたり、もう一度ダンスを磨いたり、将来自分のやりたいことをもう一回整理したりしていました。
――そこで改めて見つけた「やりたいこと」とは?
佐藤:やっぱり僕はEXILEになりたくてダンスを始めたので、EXILEみたいにデカい所でダンスしたいし、アーティスト業を一番したいんだなって思いました。実はFANTASTICSが始まる前にいくつか舞台のお話も頂いていたんですけど、最優先でFANTASTICSに取り組ませていただいていたんです。でもそうするうちに、やっぱりアーティスト業と同じくらいお芝居をしたい気持ちもあるなって思って。それ以外できなくてもいいから、その2つを重点的にやっていきたいと思いました。
――佐藤さんは普段、演じる役へのアプローチはいつもどのようにされていますか?
佐藤:ダンスもそうなんですけど、僕は昔からノートにメモを取るのが好きなんですよ。お芝居も、今まで取り組んだ作品名と役名と、その人の生きてきた経歴というかバックボーンをすべて自分で考えて書くのが好きで、いつもそうするようにしています。
――すごいですね。何かきっかけがあったんですか?
佐藤:初舞台(2013年「あたっくNo.1」/演出・㭴田正剛)のときに僕、自分が演じる役に対してめちゃめちゃ無知なまま稽古に臨んじゃったんですよ。そしたらもうこてんぱんにされて、もう「帰れ!」くらい言われて…。戦争や命がテーマの舞台だったので、自分でも「あー、これはまずいな」って思ってから、必死に調べるようにして。
――ダンサーという身体表現性からイメージすると、書くのが好き、っていうこと自体意外な気もします。
佐藤:そうですか?(笑) 僕は昔から、授業中のノートも人一倍きれいに取りたがる几帳面なタイプでした。ほんと性格そのままって感じです。もともとダンスもレッスン始めたてのときに、日付と、先生の名前と、使った曲、それから最後に生徒一人ひとりにしてくれるアドバイスをできるだけ覚えておいて、後でレッスンノートにまとめるっていうことをしていて。もうその2冊は、見返し過ぎてすっごいボロボロです(笑)。
――今回の「錆色のアーマ」ではダンスだけじゃなく歌にも初挑戦されますね。
佐藤:はい! 今、個人的にレッスンに通ってるんですが、…ま~わりと! 最初の頃よりは掴んできているんじゃないかと!(笑) 稽古初日は、もうその日だけで喉を枯らして、「カラオケじゃないんだから」って言われちゃいましたが、今はその日の自分を笑ってやれるくらい、少しは上手くなってきているんじゃないかと思います。今、本当に楽しいんですよ。この後もレッスンに行くんですが、こうしている間にもずーっと曲が頭の中に流れていて…今までまったく興味のなかったものにすごい惹かれている自分がいますね。
――EXILEはダンス&ボーカルグループですが、今までボーカルへの興味は?
佐藤:まったくなかったですね~。今まで歌に関しては人前で唄って満足してもらおうという欲はなくて、カラオケとかでふざけて唄う程度だったので、本当に無頓着でした。だから今一番怖いのは、特にボーカルの先輩方が見に来てくれた時にどう思われるんだろうって…(笑)。笑われたり「いやいやいやいや…」って言われないように、今一生懸命稽古しています。
――もともとミュージカルに親しみはあったんですか?
佐藤:もう、観るのは本当に昔から大好きです! まず、劇団四季の「アラジン」がすごく好きで。それ以外では映画にもなった「ジャージー・ボーイズ」は本場ニューヨークのブロードウェイにも観に行ったことがあるくらい好き。結果は0-100だと思いつつ、今までミュージカルというものをやってきていないEXILE TRIBEの中で、僕がその第一号になれると思うとドキドキしつつ、楽しみで仕方ないですね。
――『HiGH&LOW』などでも見られた、かっこいいアクションにも期待しちゃいます。
佐藤:えーっと…実は、わりと僕の中でアクションってすごい苦手なんですよ、身体が硬くて。あと、ダンスの振りを覚えるのは早いのに、なぜか殺陣を覚えるのが人一倍遅いっていう謎の現象もあって(笑)。自分が強いっていう設定に慣れてないんですかね? やられる側の動きはわりと上手いんですけど、やる側だとどうしても不自然になっちゃって。でも今回は、一人ひとりオリジナルの武器に基づいた殺陣なので、何としてもモノにしたいです。
――佐藤さんの演じる孫一は、どんな武器(アーマ)を持つんですか?
佐藤:僕のアーマは鉄砲という、かなり男の子心をくすぐるもので、難しいとは思うけど、常識に縛られず自分でも動きを編み出していけたら面白いんじゃないかなって、今は勝手に期待しています。
――今回は“逆2.5次元”ということもあって、ファンタジックなビジュアルも注目ですね。
佐藤:はい、こんなビジュアルになると思っていなかったのでびっくりして、衣裳合わせでもかなりテンション上がりました(笑)。今回は衣裳だけじゃなく、カツラもつけて、青いカラコン(カラーコンタクト)も入れてるんですよ。鏡を見ると自分じゃない自分がいる、みたいな感覚です。それでアーマも持つと、本当にアガります!
――しかも漫画を原作にした“2.5次元”じゃなく“逆2.5次元”なので、この舞台を原作にしたメディアミクス展開が待っているんですよね。
佐藤:はい、現時点だけでもアニメ化が発表されているので、僕は今度は声優学校に通うんだろうな…って、今すごく楽しみです。信長役の増田俊樹さんは声優さんとしても大活躍されている方ですし、これも本気で勉強しなくちゃいけないですね。歌も殺陣も衣装も映像とのコラボも、それから座長経験も含めて僕のいろんな“初めて”を奪われる作品なので、根性入れて真剣に頑張るしかない。こんだけのプロジェクトを背負ってすべてやり遂げたら、どんだけ成長できるんだろうって楽しみですね。
――では最後に、見どころと意気込みをお願いします。
佐藤:とにかく僕は一生懸命がむしゃらにやることしかできないので、初座長として迷惑をかけるかもしれないけど、それ以上に誰より明るくエネルギッシュ、元気で現場に居たいと思っています。僕自身、常日頃からそうなれるよう、意識しているように、それで周りのみんなに支えたいと思われる孫一みたいになればうれしいですね。観客の方々も、僕みたいに感情移入できたり応援できたりする役柄が絶対一人はいると思うので、ぜひ劇場で生で観て、その後のメディアミクス展開にも期待してもらえたらうれしいです。歴史が苦手な僕でも、思わず夢中になっちゃう面白さと切なさのある物語なので。
佐藤大樹
さとう・たいき
1995年1月25日生まれ、埼玉県出身。2014年の「EXILE PERFORMER BATTLE AUDITION」に合格してEXILEに加入。2017年に1月より始動したFANTASTICSのリーダーも務める。主な出演作にドラマ『シュガーレス』『仮面ティーチャー』『ワイルド・ヒーローズ』、ドラマ/映画『HiGH&LOW』シリーズ、舞台『あたっくNo.1』『ムッシュ!』など。
◆公演情報
「錆色のアーマ」
東京公演:2017年6月8日(木)~18日(日)
@AiiA 2.5 Theater Tokyo(http://aiia-theater.com/)
大阪公演:2017年6月22日(木)~25日(日)
@森ノ宮ピロティホール(http://www.piloti-hall.jp/)
◆STAFF&CAST
原案:「錆色のアーマ」プロジェクト
脚本:なるせゆうせい
演出:元吉庸泰
出演:佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)、増田俊樹/
荒木健太朗、永田崇人、平田裕一郎、章平、神里優希、崎山つばさ/栩原楽人、市瀬秀和、輝馬、他
◆あらすじ
鉄砲ひとつで戦乱の世に名乗りを上げた孫一と、その鉄砲技術を手中に収め、天を食らおうとする信長。村を襲われ支配下に置かれた孫一率いる雑賀衆は、信長を憎しみ嫌うが、次第にその思惑と悲しみを知りともに天下統一の夢を抱きだす。しかし、一向宗と明智光秀の信長暗殺計画により、分断された2人は、本能寺へ向かうが…。果たして、孫一と信長は、各々が目指す”天”に辿り着くことができるのか?
◆公式サイト:http://www.nelke.co.jp/stage/rusted_armors/
◆公式Twitter:@rusted_armors