第23回　その１

自由奔放でありながら、こなれたおしゃれ感で存在感を放ちまくる唯一無二なファッションと、ゆる～いけれど、独自の哲学に裏打ちされた大人な生き方が男子の憧れ。そんなノリさんのワードローブから“ド定番”のアイテムをひも解くメンズジョーカーの人気連載を「完全版」としてお届け！　また、『メンズジョーカー　プレミアム』では、各回のテーマにまつわる「番外編」も！

好奇心を刺激するド定番は
ブランドの展示会にあり!?

――各ブランドの展示会もひと段落（通常は秋冬物Ａ／Ｗが２～３月ごろ、春夏物Ｓ／Ｓが９～11月ごろ開催）。ノリさんも、ちょくちょく顔を出されるそうですね。

展示会もそうだし、あとコレクションとかレセプション。行くたびにワクワクするよね。「コレいいな～、欲しいな～」なんて言いながら新作を見てまわるだけでも楽しいし、デザイナーやアーティストが作った一点モノが、またおもしろいの。“作るのにどんだけ時間かかったの!?”って驚くくらい凝った作りのヤツとか。“コレ、誰が買うんだろう？”って、まったく実用性のないヤツとか(笑)。そういう遊び心のある作品を見てるだけで好奇心がそそられて、新作そっちのけで見入っちゃう。〈木梨サイクル〉とのコラボでもお世話になってる〈オーバーライド〉は、そんなワクワクする展示会のひとつで、毎回楽しみにしてる。

――というわけで今回は、いつものアトリエを飛び出して、ここ東京は原宿、帽子のセレクトショップ〈オーバーライド〉明治通り店へとやって参りました。

最近は、ココの栗原（亮）社長入魂の「カップルハット」っていう一点モノが展示会に並んでて。あれはホント笑ったな～。今日はソイツを社長が用意して待っててくれてるんですが…ささ、遠慮せず入って入って。俺んちじゃないけど(笑)。

――（現物が到着）おおーっ、めっちゃデカイ！　しかも、ただ大きいだけじゃなく細部まで凝ってますね～。

ね？　笑うでしょ(笑)。笑えるんだけど一切、手抜かりなし！　そのギャップもいいんだ。

――実用性は、まったくなさそうですが…(笑)。

そうそう。結婚式で新郎新婦がコイツをかぶって、いざ入場。司会の人が「これで今日から離れられない２人に…」とか何とか上手いこと言うくらいしか使い道はないよ、たぶん(笑)。でもさ、みんなハッピーな気分になるし、いいじゃない？　一個くらいこんな帽子があっても。こういうバカバカしさって、何か好き。

――デザイナーは、ノリさんの言う「遊び心のある作品」を作りながらイマジネーションを膨らませるんでしょうね。

だろうね～、頭がやわらかくなるから。前にハットを紹介した時も言ったけど（俺のド定番！完全版・第11回、第12回）、かく言う俺も今、ムショ～に新作の帽子を作りたくなってるところだし。店に並んでても誰も買わないようなヤツを作るのもいいかな～とか。ほかにも、カップルハットにまんまと好奇心を刺激されたもんで、例えば作る工程で不具合のあったキャップのツバを再利用して…あれって二つ合わせると、ハートみたいになるじゃない？　それで“四つ葉（ツバ）”のクローバーのオブジなんてどうかな～とか(笑)、アート方面の創作意欲も沸いてきてる。次なるシーズンの〈木梨サイクル〉および木梨憲武の動きを楽しみにしてほしいよね。って、おっと。「オーバーライドもよろしく！」って言っとかなきゃ、社長に怒られちゃうか(笑)。

【定番品解説】
カップルハット

「展示会ごとに手作りしている帽子のひとつで、実際に使えるかどうかは別ですが(笑)、“離れられないカップル”をイメージして作りました」（栗原）。今回は、厚手のウールフェルト地を使用。男子側にはアンティークのコンチョ、女子側にはビーズをあしらった。

PROFILE
1962年3月9生まれ。東京都出身。帝京高校の同級生・石橋貴明ととんねるずを結成。若者のカリスマ的な存在となり、今も絶大な影響を与え続ける｡また’94年から絵画展をスタート。3月29日[水]～4月11日[火]には〈伊勢丹〉と〈木梨サイクル〉のコラボレーションによる期間限定ショップが新宿伊勢丹メンズ館１階＝プロモーションにオープン。〈オーバーライド〉やハワイの有名店など、総勢15の企業やブランドとのコラボグッズを見逃すな！

木梨サイクル　https://kinashi-cycle.com/index.html