木梨憲武’s 俺のド定番!

2018.03.28 Wed UPDATE REGULAR

【木梨憲武】 第35回 ジャージィ編~その2

第35回 ジャージィ編~その2

自由奔放でありながら、こなれたおしゃれ感で存在感を放ちまくる唯一無二なファッションと、ゆる~いけれど、独自の哲学に裏打ちされた大人な生き方が男子の憧れ。そんなノリさんのワードローブから“ド定番”のアイテムをひも解くメンズジョーカーの人気連載を「完全版」としてお届け! また、『メンズジョーカー プレミアム』では、各回のテーマにまつわる「番外編」も!今回はジャージィ編~その2をお送りする。

 

第35回 ジャージィ編~その1

ジャージィ、青春秘話! ノリさんの“あの瞬間”…?

――国立競技場のピッチじゃなく…スタンドで応援していた時に着てた帝京高校サッカー
部の赤いウォームジャケット。これにまつわる思い出はありますか?

東京都大会の準決勝はレギュラーで出て、決勝も途中出場して、修徳に3対0でなんなく
勝って。「はいはい、勝ちましたよー」くらいの感じで、翌日も練習してたのね。選手権
で優勝狙ってるチームだから、それくらいのもんなのよ、予選突破の喜びは。で、そこに
『イレブン』と『サッカーマガジン』が選手権用の集合写真を撮りに来て。監督が「レギ
ュラー集合~。サブも」って言うから、「俺、昨日ゲーム出たしなー」と思い入り込もう
としたら…「あ、木梨いいや」って(笑)。俊足のワシダって1年が呼ばれた時に「もし
かして俺、終わった…?」みたいな。とはいえ、まだチャンスはあるの。開幕前に、後楽
園の本郷館って宿で選手権に出場するメンバーが発表されるから。20人くらい候補がいた
かな?(※1)俺もまだレギュラークラスだしで、淡~い期待があるわけ。

――ドキドキしますね~。結果は知っていても。

(笑)、みんな体育座りで待ってる中、11人のレギュラーから名前が呼ばれ。次にサブ。
登録は18人だから、残るは7人。キーパーから名前が呼ばれ…5人、6人。そして最後に
なって「き」って聞こえたから腰を上げたら…「木梨とか、」って。「ん!? “木梨。”
でいいのに“とか”…?」。続けて監督が「木梨とか、キムラとか考えたんだけど、2年
のタカダマ」(笑)。その時に着ていたのが、この赤いウインドブレーカーね。ココの染
みが落選の涙で…ってウソ、ウソ(笑)。

――それにしても、帝京の選ばれた20人なんだからすごいです。前回おっしゃったように、
たかがジャージィ。されどジャージィ。色んな思い出が染み付いてるんですね。

何せ、学校の行き帰り以外は、ずーっとジャージィしか着てなかったからね。毎日、練習
で着て。家でも着てるし、休みの日も私服を持ってないからジャージィだし。自然と愛着
も沸いてきて。そのうち、前回も行ったジャージィの着こなし、“ジャージィ道”を追求
することになるわけ。

――具体的には、どんな追求を?

練習とか試合では、ジャージの上からストッキングを被せるとか。その被せ方、折り曲げ
る幅とか回数とかね。まー、こだわるこだわる。今〈木梨サイクル〉でミリ単位の調整を
してるのも、きっとその時のなごりで。ほかにも短パンの穿き方、落とす長さとか、ロン
パンの方がいいのか。ストッキングは膝のところまで落として穿くとカッコいいとか…こ
の膝まで落とすっていうのは、当時のラモス(瑠偉)さんがやってて、「カッコいい~!」
って流行って。そうすると、(古沼監督のモノマネで)「上げろ~ストッキング、バカヤ
ロ~」なーんて監督に怒られたりはするんだけど(笑)、’74年の西ドイツワールドカッ
プでクライフはコレを着てたとか、こうやって着てたとか。とにかく上手い人たちの着こ
なしを真似てた。

――クライフは、当時は控えの番号だった14番を「俺の番号にする」と、あえて付けてい
た往年の名選手。23番を自分の番号にしたベッカムか、それ以上のスターでした。

カッコよかったな~。ほかにも我々世代は『三菱ダイヤモンドサッカー』(※2)でドイ
ツの情報しか入ってこなかったから、もれなく西ドイツ代表のジャージィを買ったり。ベ
ッケンバウアーが木の間をかいくぐってリフティングする〈アディダス〉のCMを見ては、
そこで着てたジャージィの上下に憧れたりね。ちなみに’74年の西ドイツ代表は緑×白×
緑と白×黒×白のユニフォームを使ってて。そのユニフォームの組み合わせとスパイクと
の相性っていうのは、今の俺の基本になってる。全体を2~3色くらいで抑えて、帽子と
ジーパンの色を合わせて、ネクタイの色と靴の色を合わせるとか。そういう普段の着こな
しもサッカーで覚えたね。

――前回は「海外に行くと古着屋さんを覗いては、昔は手に入れるのが難しかった’70年
代のレプリカとか物色する」とおっしゃっていましたが、現行品は買わないんですか?

買う買う。ちょっと前だけど、例えばマジョルカに大久保嘉人を観に行けばマジョルカの
ジャージィを買い。高原(直泰)を観に行けばハンブルガーSVのジャージィを買い。

――ユニフォームは買わないんですね(笑)。

そう、ジャージィしか買わない(笑)。一回、面白かったのが、ミラノでたまたま青いジ
ャージィを着てたら、空港の手荷物検査のところでブーッて鳴ったのね。そうしたら係員
のオッサンが「そのジャージィが鳴ってんじゃねえか?」って言うの。ACミランは赤だ
からさ、「それ脱いでみろ?」って(笑)。怖いんだけど、「やっぱすげえな、イタリア」
って、何だか笑っちゃって。あ、話が逸れちゃった。まー、それくらい、いつでも。どこ
行っても着てるってこと。ジャージィから離れられないってことだよね。

 

【注釈】
※1 ノリさん(帝京)、中山選手(藤枝東)、遠藤選手(鹿児島実業)はサッカーの名
門校出身。今野選手はどちらかといえば野球で有名な東北高校出身であることからの、先
輩方の愛あるイジり。

※2 オランダのテクニカルスポンサーはアディダス。しかし、ヨハン・クライフがライ
バル社プーマと契約をしていたため、ジャージィには三つ葉のマークがなかった。また彼
のユニフォームのみ2本線という苦肉の策が取られた。

 

【定番品解説】
ジャージィ

イギリス海峡のジャージー島で作られたメリヤス生地のことで、洋服地に広く用いられ、同島の船員が着ていたが、伸縮性があり活動しやすいことから次第にラグビーやフットボールのウエアになっていったと言われている。

 

PROFILE
1962年3月9日生まれ。東京都出身。帝京高校の同級生・石橋貴明ととんねるずを結成。若者のカリスマ的な存在となり、今も絶大な影響を与え続ける。主演映画『いぬやしき』が4月20日に公開。また「木梨憲武展」をロンドンで! その後、全国巡回展を開催!

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