木梨憲武’s 俺のド定番!

2018.03.09 Fri UPDATE REGULAR

【木梨憲武】 第35回 ジャージィ編~その1

第35回 ジャージィ編~その1

自由奔放でありながら、こなれたおしゃれ感で存在感を放ちまくる唯一無二なファッションと、ゆる~いけれど、独自の哲学に裏打ちされた大人な生き方が男子の憧れ。そんなノリさんのワードローブから“ド定番”のアイテムをひも解くメンズジョーカーの人気連載を「完全版」としてお届け! また、『メンズジョーカー プレミアム』では、各回のテーマにまつわる「番外編」も!

 

「定番」というより究極の一着。ノリさん、ジャージィを語る

――おおっー!(取材場所であるノリさんのアトリエに着くなり驚く)。こちらは全部ノ
リさんのコレクションですか?

これはまあ、ほんの一部なんだけど、思い出のヤツだったり、ちょっと珍しいヤツを選ん
で何着か持ってきた。

――ジャージィといえば、これまで数多くのエピソードが登場(完全版・第2回、第19回
ほか)。以前「デニム2Bジャケット編」では「基本的にジャージィ好きだから、ジャー
ジィ地のジャケットなんかもお気に入りで。ハワイに行く時も機内でシワを気にしなくて
いいし。ラク~で便利」と、おっしゃっていました。

そうね~。俺が最もくつろげる普段着であり、ロケなんかの時にお世話になる衣装でもあ
り。ジャージィ素材のスーツを着ればフォーマルでもイケちゃう「ド定番!」のひとつな
んだけど、もはや定番というか、離れらんない「俺の究極の一着」。Tシャツ、ジーパン
なんかより全然、付き合いが長いから。

――その原点は、やはり帝京高校サッカー部。

サッカーが上手い=着こなしもカッコいい2コ上のワセダ先輩に憧れ(完全版・第2回参
照)、高田馬場にあった〈アディダス〉専門の「グランプリ」や〈プーマ〉専門の“東ス
ポ(東京スポーツ)”ってスポーツ店に行って。あとはブラジル代表、そして我が帝京サ
ッカー部も着てた〈アスレタ〉とか、当時はまだ珍しかった海外のブランドのジャージィ
を少ない小遣いをやりくりしながら買ってたよね。で、’80年代になるとRUN DMC
とかヒップホップの人たちが〈アディダス〉のジャージィを着て流行ったじゃない? そ
ういう意味ではずいぶん先を行ってた(笑)。

――(笑)、それから40年ほど経ってもブレてないと。

そう、ブレない。大人になった今も『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』でゴン(中山雅
史)やヤット(遠藤保仁)と「ソックスをジャージィの上に重ねる時、どう履くか?」み
たいな話で盛り上がったり。みんなで「今ちゃん(今野泰幸)、それはなくない?(※1)」
とかイジったりして(笑)。「地区とか学校で違いがあるんだね~!」なんてね。40年近
く経ってもジャージィの着こなしを追及してる俺、みたいな(笑)。

――さすがにジャージィ歴40年の大ベテラン。古そうなものもたくさんありますね。

好きすぎるあまり、海外に行くと古着屋さんを覗いては、昔は手に入れるのが難しかった
’70年代のレプリカとか物色して。コレ(壁に掛かっている襟付きのジャージィ)なんか
は’74年の西ドイツワールドカップでオランダ代表が着てたジャージィで。「クライフは
〈プーマ〉と契約してたから〈アディダス〉のマークがなかったなぁ」とか(※2)、夜
な夜な酒でも飲みながら一人でニヤニヤしてるという(笑)。

――今着ているウォームジャケットは?

この赤いヤツは高校サッカー選手権の決勝(’79年)で、国立競技場のピッチじゃなく…
スタンドで応援してた時に着てた(笑)、ある意味レアな1着(※ノリさんは東京都大会
準決勝までレギュラーとして出場を!)。元全日本(サッカー日本代表)の名取 篤に、三
菱(現在の浦和レッズ)に入った川添孝一、競輪選手になった小門洋一とか超高校級の選
手がいっぱいいて、俺以外はホント上手いし、強かった。そういう思い出があるからかな
? 洋服だとかはすぐに人にあげちゃったりするんだけど、なぜかジャージィだけは大事
に残ってるんだよね~。たかがジャージィ。されどジャージィ。これからも“ジャージ道”
を極めていこっかな。

 

【注釈】
※1 ノリさん(帝京)、中山選手(藤枝東)、遠藤選手(鹿児島実業)はサッカーの名
門校出身。今野選手はどちらかといえば野球で有名な東北高校出身であることからの、先
輩方の愛あるイジり。

※2 オランダのテクニカルスポンサーはアディダス。しかし、ヨハン・クライフがライ
バル社プーマと契約をしていたため、ジャージィには三つ葉のマークがなかった。また彼
のユニフォームのみ2本線という苦肉の策が取られた。

 

【定番品解説】
ジャージィ

イギリス海峡のジャージー島で作られたメリヤス生地のことで、洋服地に広く用いられ、同島の船員が着ていたが、伸縮性があり活動しやすいことから次第にラグビーやフットボールのウエアになっていったと言われている。

 

PROFILE
1962年3月9日生まれ。東京都出身。帝京高校の同級生・石橋貴明ととんねるずを結成。若者のカリスマ的な存在となり、今も絶大な影響を与え続ける。主演映画『いぬやしき』が4月20日に公開。また「木梨憲武展」をロンドンで! その後、全国巡回展を開催!

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