第11回 帽子編~その1
自由奔放でありながら、こなれたおしゃれ感で存在感を放ちまくる唯一無二なファッションと、ゆる~いけれど、独自の哲学に裏打ちされた大人な生き方が男子の憧れ。
そんなノリさんのワードローブから“ド定番”のアイテムをひも解くメンズジョーカーの人気連載を「完全版」としてお届け! また、『メンズジョーカー プレミアム』では、各回のテーマにまつわる「番外編」も!
いつでも、どこでも、年がら年中。定番というか、もはや身体の一部!
【帽子編~その1】
――今回の「俺のド定番!」は、帽子をテーマに語っていただきますが、とにかくたくさん持ってますよね?(取材場所のアトリエにはズラリ、コレクションが!)。
そうね~、「定番」というか、俺の「必需品」だから、自宅のも含めると…数えらんないくらい持ってるよね、何十個と(笑)。オデコの脂とか髪のワックスが付いちゃってるから、そうそう人にあげらんないし。知らないうちに、どんどん増えてくの。
――テレビでも、ノリさん=帽子の印象が強いです。
前々回(第7、8回)、紹介した白いTシャツと同じくらい、ほぼ1年中、被ってるからね。衣装の一部としても欠かせない商売道具でもあるんだけど、もはや身体の一部かな。目が悪い人で言うメガネみたいなもんで。変な話、その日の洋服とか気分でカツラを変えてるような感じで被ってる(笑)。
――(笑)、そんな中、本連載でもよく被っているのが…。
仲良しの栗原(亮)社長がやってる〈オーバーライド〉をはじめ、「帽子の栗原」さん(※1)で買ったヤツ。あとスーツとかカッチリした時には〈KIJIMA TAKAYUKI〉さん(※2)のオーダーメイドのもの。普段はドゴールキャップとか〈木梨サイクル〉のものが多いかな。
――キャップも好きですよね?
最近(取材時)ウチで発売した〈STARTER〉のキャップがまたいいのよ~。メジャーリーグとか、プロ仕様の帽子を作ってるアメリカの老舗メーカーなんだけど、ツバがカッチカチで、ここまで硬いと折る気もしなくなんの(笑)。粗目の素材だとかずんぐりした形とか、今風じゃないところが妙にくすぐるんだな~、俺の大好きなオールドスタイルで。
――今日、被っているのは、綿麻の素材がこの季節にピッタリの〈木梨サイクル〉の中折れハット。ツバの大きさ、深さ、絶妙なバランス!
「身体の一部」ってくらいだから、作る時も相当、こだわってるよ。このハットも、ツバだとか深さなんかをミリ単位で調整して。形に素材、リボン。その生地や色とか縫い目の位置まであらゆる組み合わせを「あーでもない、こーでもない」って言いながら、何度も何度も打ち合わせしてるから。でね、ウチらしい遊びの部分としては、ここ(リボンの部分)よーく見てみて。ロゴが〈Barsalio〉(※3)風の書体で、“Kinashicycle”になってんの(笑)。
――帽子のいいところと言いますと?
とにかく、楽! 朝ドイヒーな寝グセがあってもすぐに出かけられるわ、風が強いロケでもOKだわ、将来ゲーハーになっても大丈夫ときた(笑)。そんなんだから、ジジイになるまでもう手放せないね。
※1 1922年に「栗原」を創業。1999年、神宮前に帽子専門店「override(オーバーライド)」をオープン。その後、テイストの異なるブランドの帽子専門店を全国で展開。
※2 2013年、帽子を専門とするブランド〈coeur(クール)〉からメンズラインのみ独立し誕生。デザイナーは木島隆幸。コンセプトは「シンプルな装いの中にも存在感のある、トータルコーディネイトで生きる帽子」。
※3 帽子業界における老舗にして最高峰。1857年、ジュセッペ・ボルサリーノがイタリアのアレッサンドリアにして設立。日本では中折れ帽(ソフトハット)=ボルサリーノ帽とも呼ぶほどその名が浸透している。
【定番品解説】
木梨サイクル 綿麻中折れハット
麻素材特有の光沢のある素材を使用。カジュアルでもスーツでも合わせられる。リボンには筆記体でKinashicycleのロゴが。内側のコートを引っ張るとサイズ調整が可能(最大60㎝)。ツバ4.5㎝。帽子大好きなノリさん、入魂の逸品。5500円也。残念ながら売り切れ!
PROFILE
1962年3月9生まれ。東京都出身。帝京高校の同級生・石橋貴明ととんねるずを結成。若者のカリスマ的な存在となり、今も絶大な影響を与え続ける。また1994年から絵画展をスタート。一昨年より20周年を記念した「木梨憲武展×20years INSPIRATION‐瞬間の好奇心」を開催し、全国で好評を博した。
木梨サイクル https://kinashi-cycle.com/index.html
Text:Tatsunori Hashimoto