第16回 ジーパン編~その2
自由奔放でありながら、こなれたおしゃれ感で存在感を放ちまくる唯一無二なファッションと、ゆる~いけれど、独自の哲学に裏打ちされた大人な生き方が男子の憧れ。
そんなノリさんのワードローブから“ド定番”のアイテムをひも解くメンズジョーカーの人気連載を「完全版」としてお届け! また、『メンズジョーカー プレミアム』では、各回のテーマにまつわる「番外編」も!
ノリさん、ワイキキの浜辺で
ジーパンの奥深さを学ぶ
【ジーパン編~その2】
――前回は、ノリさんがよく履いている極太ジーパンのサイズ感などお聞きしました。太さ(ノリさんの最近の定番はW36、L31)のほかに、選ぶ際のこだわりはあるんですか?
ジーパンは、ハーパンと同じくらい年中履いてるけど、いちばんのこだわりは(糊の利いてる)真っ新のパリパリのヤツを買うこと。1回洗うと、またムードが変わってくるし。そうするとスニーカーの時、革靴の時、合わせるクツとの感じも変わってくるし。そういう変化を楽しみたくって。
――コレクションとかはしてないんですか?
しないしない。ヴィンテージとかにも興味がないし。Tシャツと同じで捨てるタイミングがわかんないから、人にあげたり絵を描く時用に以降してく中で、なぜだかわかんないけど、それを潜り抜けてきた何本かはあるけど。
――新(さら)のジーパンの裾は切らない派?
そう、切らない。シャツを入れた時、出した時でも裾のクツへの被さり具合が全然、違うから。あとはベルトの締め具合で調整して、どんな時でも対応できるようにしてる。
――「変化を楽しむのが好き」とのことでしたが、ノリさん流の、ジーパンとの付き合い方を聞かせてください。
買いたてのヤツをいい感じになるまで履き続けて、俺だけの1本にするのが好きなの。今のが最近いつも履いてる〈AWA〉の4代目。パリッパリがTシャツ、ちょい落ちがスーツ、ボロボロになると絵を描く時に汚れてもいい用とか、色落ち具合によって何とな~く履きわけてるね。ヒザに太もも、脚の付け根。ジーパンって、履いてくうちに自分のカタチになってくじゃない? それがたまんないのよ。
――古着を見て「左の膝だけ擦れてるのは、前の持ち主がギターを弾いていたのかな。両方の内ももが擦れてるのは乗馬経験者かな」とか想像するのが楽しみという人もいます。
それ、なんかわかる。今はそういう加工も技術が進んでるけど。昔はそんなのなかったもんね。
――今はジッポーを入れていた跡とか、サイフの跡とかもホンモノ以上に再現されていますし。
昔さ、早く色落ちをさせたいから、ヘアメイクの北君に俺のをはかせてワイキキの海辺をほふく前進させたことがあったの、屈伸させたりして(笑)ロケ行っても俺はメイクなんてほとんどしないから「ギャラぶん働いといて」って。
――(笑)、これぞリアル、ストーンウォッシュ!
で、風呂で洗って「さてさて、出来具合は…」って楽しみに見たら、仕上がりがなーんか違うんだ、俺のカタチと。当たり前なんだけど、体型も何も違うしで全然、しっくりこない。ヒザの出てるところが、すんごい上の方にあったりして(笑)。その時に学んだわけですよ、アマチュアが無理して作っちゃいけないんだなって、ジーパンの奥深さを。あの時はゴメンな&、サンキュー、北君!(笑)。
PROFILE
1962年3月9生まれ。東京都出身。帝京高校の同級生・石橋貴明ととんねるずを結成。若者のカリスマ的な存在となり、今も絶大な影響を与え続ける。また1994年から絵画展をスタート。一昨年より20周年を記念した「木梨憲武展×20years INSPIRATION‐瞬間の好奇心」を開催し、全国で好評を博した。9月には、妻で女優の安田成美さんが“子供の頃の見た”という妖精から着想を得て、初絵本『TEHON』を3冊同時発売。9月1日から東京・代官山町周辺で、絵本の世界観を体感できるワークショップ『木梨憲武フェアリーズ@代官山』を10月2日まで開催した。このワークショップは11月に名古屋、12月に大阪でも開催予定。
木梨サイクル https://kinashi-cycle.com/index.html
Text:Tatsunori Hashimoto