木梨憲武’s 俺のド定番!

2017.08.01 Tue UPDATE REGULAR

【木梨憲武】 第27回 大人の基地編~その1

第27回 大人の基地編~その1

自由奔放でありながら、こなれたおしゃれ感で存在感を放ちまくる唯一無二なファッションと、ゆる~いけれど、独自の哲学に裏打ちされた大人な生き方が男子の憧れ。そんなノリさんのワードローブから“ド定番”のアイテムをひも解くメンズジョーカーの人気連載を「完全版」としてお届け! また、『メンズジョーカー プレミアム』では、各回のテーマにまつわる「番外編」も!

 

昔からド定番の秘密基地が
ノリさんの創意工夫の原点!?

みんなは自分の“基地”って持ってる? 

――き、基地…!? 藪から棒に何ですか?

まー、自分の部屋とかスペースかな? 仕事を忘れてもの思いにふける。仕事をやっていると見せかけて…遊ぶ(笑)。時計だとかレコード、フィギュア…。結婚すると、どうしても自分の好きなものをリビングに並べらんなくなっちゃうから、そういう趣味のものを並べる。で、コレクションを眺めながら夜中に一人、酒を飲む。そんな男の秘密基地。

――なるほど~。童心に戻れるような。

そう。一人になれる隠れ家的な場所だよね。別に狭くったっていいの。狭い方が逆に落ち着くっていう場合もあるし。俺の最初の基地も、建て替える前の木梨サイクルの階段下のスペースに(父)作三さんが作ってくれた小部屋が始まりだったけど、そんなんで全然、構わないんだから。

――収納に使うような、三角形のデッドスペースですよね。

そうそう。小学生になると、今度は近所に住んでた大工のせがれの敷地内に、自分で秘密基地を作って。材木とかが立てかけてある壁に向かって毎日サッカーボールを蹴ってたんだけど、そこんちの壁裏の1畳あるかないくらいの隙間でファンタを飲んでは「ふ~」なんて、練習の疲れを癒したりして(笑)。大工の家だから、そのうち余った板で棚を作っては漫画だとかの私物を持ち込み。昔のブロック塀ってさ、ところどころに◇型の穴が空いてたじゃない?

――飾りのコンクリートブロックが。

その穴から敵が来ないかどうかを監視しつつ…。

――て、敵って?

(笑)、まー、言っても、ただのご近所さんなんだけど。友達と「うるさいおばちゃん発見! 逃げろ~」みたいなことをやってたな~。気分はスパイの秘密基地なの。

――昔はやってましたね~、そういう“○○ごっこ”。

その後は、中学生になってようやくもらえた4畳半の自分の部屋に「やっぱ“外タレ”の方がオシャレかな~」なんて、『スクリーン』とか『ロードショー』って映画雑誌の切り抜きを貼ったり、映画館でもらってきたチラシを並べたり。これが昔テレビでよく言ってた「『ジョーズ』『タワーリング・インフェルノ』、そして『燃えよ!ドラゴン』からのドラゴンシリーズ。そんだけじゃいけないってんで『サウンド・オブ・ミュージック』」って、ギャグの元ネタなんだけど(笑)。ワケのわかんない難しそうな映画のチラシも一緒に並べては“俺は映画に詳しいぞ”ってアピールしたり。とか言って、外人の俳優はブルース・リー以外、スティーブ・マックイーンとポール・ニューマン(※1)くらいしか知らないっていう(笑)。

――’70~’80年代の若者のとって、オシャレ=アメリカでしたからね。

とにかく“段”の上に寝ることに憧れてたから、ホームセンターの衣装ケースを12個並べて、そこに布団を敷いてベッド感を出そうとしたり(笑)。玄関に置けばいいものを、なぜか棚の上にクツを並べたりして。部屋をもらえたことがうれしくて、模様替えばっかやってたな~。ベッドと机の位置を入れ替える、その喜びね(笑)。まー、お金はないし、そもそも4畳半しかないから、やれることはものすごく限られてるんだけど、そういうのを考えてる時間が楽しいんだよね。

 

 

【脚注】
※1…スティーブ・マックイーン(1930~1980年)は映画『大脱走』(63年)、ポール・ニューマン(1925~2008年)は『ハスラー』(61年)などが有名。ともに’60~’70代のアイコンであるとともに、そのファッションも若者に影響を与えた。

 

 

PROFILE
1962年3月9日生まれ。東京都出身。帝京高校の同級生・石橋貴明ととんねるずを結成。若者のカリスマ的な存在となり、今も絶大な影響を与え続ける。佐藤健とのW主演映画『いぬやしき』(監督・佐藤信介)が来年公開。“語り”を担当する土曜ドラマ24『居酒屋ふじ』(テレビ東京系 毎週土曜深0:20~0:50)が放送中。

« 一覧