第30回 スクーター編~その2
自由奔放でありながら、こなれたおしゃれ感で存在感を放ちまくる唯一無二なファッションと、ゆる~いけれど、独自の哲学に裏打ちされた大人な生き方が男子の憧れ。そんなノリさんのワードローブから“ド定番”のアイテムをひも解くメンズジョーカーの人気連載を「完全版」としてお届け! また、『メンズジョーカー プレミアム』では、各回のテーマにまつわる「番外編」も!
――『とんねるずのみなさんのおかげでした』などのロケでは、さまざまなバイクに乗る姿を見かけますが、愛車にまつわる思い出はありますか?
愛車じゃないんだけど、昔『アメリカン・ランナウェイ(青春を東海岸にかけた野郎たち! アメリカン・ランナウェイ AMERICAN RUNAWAY 君よ熱く南へ走れ!)』(’87年)ってドラマで、チェッカーズとキーウェストをハーレー(ダビッドソン)で走ったのは気持ちよかったね~。革ジャンを腰に巻いて、Tシャツ1枚で。(藤井)フミヤに「まだ間に合うぞ!」とか何とか言って。セブンマイルブリッジっていう、映画とかCMでよく使われてる海の上の橋を、みんなで渡るの。で、上空にはヘリ。“空撮、バーン!”みたいな。そのときは「俺、ハーレー買うわ!」って思った。
――ハーレーは買ったんですか?
いや、東京に戻ると「ん…!? なんか違うぞ」と。「あれは、だだっ広いフロリダの景色のせいだったんだな~」と考え直して。しかも「ひとりだと空撮ねえし」って(笑)、あきらめた。当時は、バブルの絶頂期。なんだか、へんてこな頭になってたんだろうね。狭い東京は、やっぱスーパーカブが似合ってる!
――「チョイ乗り用に買った」という〈ホンダ〉スーパーカブですが、そのわりにはかなりカスタムされていますね。
前に買ったカブもシートをロングに替えたりしたんだけど、なーんかイマイチだったから、ちょっとお金をかけてイジってみた。昔っから(父親の)作三さんが、ボロくて誰も乗らなくなった自転車とか単車とか見つけてきては、それをバラして。使えるとこだけ使ってオリジナルの1台を作ったり。そういうのをそばで見てたから、やっぱ好きなんだろうね~。何かしらイジるのが。
――「男の基地」の回(第27回、28回)でも「結局は最初の四畳半の部屋に戻る」と。バイクもそうなんですかね?
そうだね。ハーレーとかいろんな単車を試しつつの、最後はスーパーカブ、みたいな。車でもハコスカ、ケンメリ(※1)。大人になって昔乗ってたそういう旧車をもう一度買い直し。当時と同じ車種、色、セッティングで乗ってる人も多いけど、それに近い感じなのかな。あと、カブは都会で実用的っていうのもある。
――確かに、原付バイクは燃費もいいし、機動力があります。
とはいえ、仕事に行くときは車だし。ゴルフもバン(※ノリさんはワゴン車をすべて「バン」と言う)で行ぅちゃうし。いつ乗るかな…と考えたら、最近は春しかないんだよね(笑)。夏は暑い。冬はご存じの通り大嫌い。秋はここ何年かないじゃない? 夏から秋をすっ飛ばして、いきなり冬になるもんね。
――バッテリーも上がるわけです!(※前回、第28回参照)
おまけに、昔みたいに競馬もあんまやんないから、場外馬券場までチョイ乗りする機会もないのよ。競馬やってたとしても、いまは(例年4月初旬から5月上旬に開催される)桜花賞から春の天皇賞限定(笑)。(日本)ダービーは…もう暑くてダメだね(’17年は5月28日に開催)。
――じゃあ、ツーリングとかムリですね。
そうね~、いま遠出するのはゴルフくらいだから、背中にゴルフバッグ背負って行く?(笑)。ていうか、そもそも平気なのかな、原チャリでゴルフクラブ? 釣り好きな人は釣り竿とか。音楽やってる人はギターケースとか。
――調べてみます(…とスマホで検索)。ノリさんの110㏄であれば基本的には大丈夫のようですね。ただし、安全運転義務違反である「ハンドル操作を妨げる」として検挙される可能性もあるそう。
なるほど~、風で横にフラれそうだもんね。でも、近場なら手軽に原チャリで行きたいし、なんとかなんないのかな~。
――でも、こんなツワモノどもがたくさんいますよ!(と、クラブホルダーやロッドホルダーを自作するゴルファーや釣り人の写真を見せる)。
ほら~、いるんだよ、単車好きのゴルフ好き、釣り好きが。(写真を見つつ)すごいね~、ちょっと感心するわ。ハーレーに釣り竿っていうのはちょっとシュールだけど(笑)、この「好きなバイクに乗りながら、好きなゴルフとか釣りにも行きたい」という願いを叶えるための努力が素晴らしいよね、うん。
――ノリさん、これなんかはどうですか!?
何々? えーっと…「本格派釣り人専用バイク!〈ホンダ〉クロスカブ『フィッシング カスタマイズ コンセプト』」! めちゃくちゃいい!! 色もカタチもかわいいじゃん。さすがはホンダさん。ゴルフ用に、ホルダーとかもあるんだね。コレはヤバイな~。自転車屋としては、こういうなんとか専用自転車を作りたくなってきた。そうだ! これに「帰りに温泉に寄るための着替えとか入れる用」のボックスとか付けるのはどうかな?(МJスタッフ「クロスカブ改は、もともと一泊旅行を想定しているようです!」)マジか~…(悔しそう)。何とかほかのアイデアを考えて、早く作んなきゃ。いや~、燃えてきた。
【脚注】
※1 1972年9月に登場した4代目スカイラインは「ケンメリ」という愛称で現在も人気がある名車。愛称は、広告キャンペーン「ケンとメリーのスカイライン」から。それと区別するため1968年登場の3代目は「ハコスカ」(箱のような形状をしたスカイライン)と呼ばれるように。
※2 現行のスーパーカブ110をベースに、The Crossover a Life & Playのコンセプトのもとに、遊びのシーンにも似合うようにと考えられ、専用のデザイン、外装と機能を付加したバイク、クロスカブをカスタマイズ。テントと積んでの一泊の釣行を想定してそれに適した仕様として仕上げられた。
【定番品解説】
スーパーカブ110カスタム
1958年に誕生したホンダF型(’52年~愛称:カブ)の流れを継ぐ「C100」シリーズに始まるスーパーカブ。2009年に同シリーズのデザインを継承し、進化を遂げた。写真は、ロングシートやメーター回り、ライトなどの変更を施したノリタケ改。
PROFILE
1962年3月9生まれ。東京都出身。帝京高校の同級生・石橋貴明ととんねるずを結成。若者のカリスマ的な存在となり、今も絶大な影響を与え続ける。佐藤健とのW主演映画『いぬやしき』が来年公開。語り手を務めるテレビ東京系『居酒屋ふじ』(毎週土24:20~)が放送中。