第34回 即席ラーメン編~その2
自由奔放でありながら、こなれたおしゃれ感で存在感を放ちまくる唯一無二なファッションと、ゆる~いけれど、独自の哲学に裏打ちされた大人な生き方が男子の憧れ。そんなノリさんのワードローブから“ド定番”のアイテムをひも解くメンズジョーカーの人気連載を「完全版」としてお届け! また、『メンズジョーカー プレミアム』では、各回のテーマにまつわる「番外編」も!
――どうもごちそうさまでした(第33回参照)。自宅でも即席ラーメンを作ることがあるんですか?
あるある。料理は滅多にやんないんだけど、即席麺だけは俺の係だから。
――具材は自分で作る時と同じで煮卵にネギ、チャーシュー?
家でやる時は、ちょっと小腹が空いた時とか飲んだ後とかに作ることが多いから、さっぱり味のネギラーメンにすることが多いかな。長ネギを包丁で丁寧に叩いて、余計な水分や苦みを飛ばす。そうすると風味が増して、いい感じになるんだな~。1個ずつ作るのもそうだけど、このひと手間が大事。あとはスピードね。生麺の場合は、乾麺よりさらにスピード勝負だから、1個作ってる時に横ですでに〈ティファール〉の湯沸かし器で次のぶんのお湯を準備しつつ、硬めかな~くらいで仕上げるのがコツ。テーブルに運ばれた時に、ちょうどいい感じの硬さになってるのがベストだね。
――ほかの即席ラーメンは食べないんですか?
そうね…たま~に、無性に〈日清〉の「カップヌードル」のしょうゆ味とかシーフード味を食べたくなったり。最近では、チリトマト味もお気に入り。誰が考えたんだろう? 初めて試しに食べてみた時、ホント旨いと思った。我々世代は味に保守的だから、あんま新しい味に行かないんですが、あれはここ何年かのヒット。韓国の「辛ラーメン」も、そういう意味では新顔のレギュラーかな。それとは別に、ハワイで食べる「きつねどん兵衛」(日清食品)も旨いね~。あと焼きそばであれば、「ペヤングソースやきそば」(まるか食品)。「日清焼そばU.F.O.」(日清食品)もCMに出させてもらってたし、旨いんだよ? CMのころはしょっちゅう食べてた。でも「U.F.O.」は後発だったから(※1)、歳取ってからは「ペヤング」の、あの味が恋しくなっちゃう。けど、こればっかりはしょうがない。舌がそうなっちゃってるから。
――乾麺に限らず、思い出の味に立ち返るんでしょうか?
特に10代、20代の食えなかった時代のご馳走は、今食べても別格だもんね。我々の若い時代はファミレスとかそんなになかったから、夜中に外食するといえば、もっぱら「吉野家」か「富士そば」で。今でも飲んだ帰りに「吉野家」に寄って牛丼に卵、みそ汁が揃って出てきた時の、あの喜びったらない(笑)。逆に、お持ち帰りで2つ3つ持ってくくらい紅しょうがが好きなもんで、取り忘れた時の落ち込みようもすごい。きっと「サッポロ一番」もそういう存在なんだろうね。うっかり麺が伸びた時は落ち込むし。今みたいにご馳走が食べられない時代の、最上級の食い物だったから、なーんか裏切れない。「その節は、どうもありがとうございました」って。
――(笑)。どんな料理より旨いと思う瞬間がありますよね?
あるね~。ちょっと前も、(藤井)フミヤが家に招待してくれて。料理好きだから、明太子のパスタか何か作ってくれたの。食材も、なんだかの高級なヤツを用意してくれて。で、待ってる間、おじさんたち5~6人でこういう話になって。「今、食べたいね~」、「じゃあ即席麺、作る?」みたいな。そうしたらフミヤが怒る、怒る。「ノリちゃん、もうすぐパスタできるんだからやめてよ~!」って(笑)。明太子のパスタは確かに、旨かった。でも、何十年っていう歴史には勝てないんだよね。「焼肉とかすき焼きとか食べようぜ」って、せっかく集まったのに結局、牛丼食べてるってことがままあるし(笑)。
――わかります! おじさん“あるある”。
食べ物に限らず、薬とか整髪料とか。今の最新型がいいのはわかるんだけど、そっちに行けないっていう。自分の育った環境の商品、青春をともにした商品の方が安心するんのよ。またさ、薬なら「キンカン」(金冠堂)とか、整髪料なら「ブラバス」(資生堂)…パッケージが昔のまんまの商品を見つけると「おーっ、まだあったか」ってうれしくなったり。さすがに今はヘアリキッドとかポマードは使いませんが、ゴルフ場とにあると、ちょっと試したくなっちゃうしね(笑)。これ読んでる20代、30代の人も、いつかはおじさん。今のうちに思い出作りをしといた方がいいんじゃない? おじさんって語りたがる生き物だし、同世代が揃うと「ある、あるある!」とか。「俺は何派だ」とか「俺流の食べ方はこうだ」とかね、そういう話になるんだって! その日のために、今からネタを集めとこうよ(笑)。
【脚注】
※1 「ペヤングソースやきそば」は1975年、「日清焼そばU.F.O.」は1976年5月に発売。
PROFILE
1962年3月9日生まれ。東京都出身。帝京高校の同級生・石橋貴明ととんねるずを結成。若者のカリスマ的な存在となり、今も絶大な影響を与え続ける。佐藤 健とのW主演映画『いぬやしき』が4月20日に公開。また「木梨憲武展」をロンドンで! その後、全国巡回展を開催!