第7回 Tシャツ編~その1
自由奔放でありながら、こなれたおしゃれ感で存在感を放ちまくる唯一無二なファッションと、ゆる~いけれど、独自の哲学に裏打ちされた大人な生き方が男子の憧れ。
そんなノリさんのワードローブから“ド定番”のアイテムをひも解くメンズジョーカーの人気連載を「完全版」としてお届け! また、『メンズジョーカー プレミアム』では、各回のテーマにまつわる「番外編」も!
白の無地Tに紺か黒のプリントT
TシャツоnTシャツが最近の定番
【Tシャツ編~その1】
――もうすぐ夏、ということで、今回の「俺のド定番」はTシャツ。ノリさんのTシャツコレクションって、どれくらいあるんですか?
んー(しばし考え)、わかんないくらいあるね。Tシャツってさ、すぐ溜まっちゃうじゃない? 本当はワンシーズンごとに捨てる、捨てない。誰かにあげる、あげない。そろそろ絵を描くとき用かなとか、クツを磨く用かな~とか、この「あげる・捨てる・雑巾」を判断しながらタンスの中は一定に保ちたいところなんだけど、なかなか処分できないの。それでいて、ここ最近、夏場はTシャツоnTシャツが基本だから、倍々ゲームで増えてってるっていう(笑)。
――ですよね。どう見てもクタってるのに、思い入れが…。
そうそう。いただき物でお気に入りの保存用から、普段よく着る用に衣装。外での出番こそないものの、着心地とか汗の吸い具合がともにサイコーな寝間着のエースまで(笑)、それぞれに役わりもあるし。でも、2~3年着てないヤツは、その後も絶対、着ないよね? それわかってるんだけどな~、踏ん切りがつかない。
――この季節、衣装でもよく着ているTシャツの、ノリさん流の着こなしは?
(TシャツоnTシャツの)組み合わせは白の無地Tに、上は紺か黒。長さ的には短めで、タイトすぎず、ゆるすぎず。下の白いのが裾から1㎝くらい出てるのがベスト。白は〈ネイバーフッド〉(※1)の3パック。〈ズッカ〉(※2)もよく着てるかな。いまのテレビって色が多過ぎるし、衣装にしても逆にそっちの方が目立ったりするのよ。
――身長177㎝、体重60㎏と細身の体型ですが、サイズは?
10代からずっとMね。50歳を超えると食い過ぎて腹まわりが気になる日もあるから、たま~にLサイズも。ただ、腹に合わせると袖とか裾が長くなっちゃうしで、サイズ感が難しいところで。読者もそろそろわかってくるころなんじゃないの? こんなお悩み(笑)。
――いや、痛いほどわかります!
Tシャツって身体で着るものだから「じゃあ腹筋しろよ!」って話もありつつ、やんないから(笑)。どうにか、そこが目立たないよう、つくろわなきゃなんない。となると…シルエットに長さ太さ。ボディの堅さ、やわさが重要になってくるわけ。それで悩むのも面倒くさいし、自分の定番があれば便利だな~ってことで、例によって「なら自分で作っちゃえ!」ってなったんだけど。
――Tシャツを作る際のこだわりは?
さっき言った俺好みのサイズ感と…襟ぐり! 最近、流行りのゆるい感じはどーも苦手で。我々世代の帝京サッカー部は、ブラジル代表に憧れて〈アレスタ〉(※3)のユニフォームを着てたから、あの当時みたいな、ちょっと首が詰まったのがいいの。で、ボディはタフな生地がいい。それもあって〈木梨サイクル〉のTシャツも襟ぐりはピシッ、着心地はパリッとしてる。
――色もノリさんが好きな白、紺を中心に展開中。
ものによってはグレーもあるけど、汗染みができちゃうから、染みができたことを想定した“汗染みが目立たない的な迷彩”とか作ってみるのもいいね(笑)。あと大事なのはプリント。ウチのもよーく見ると(HAWAII→WAIHAAなどの逆さ言葉をはじめとする)業界用語だったり、ロゴのデザインとか書体も、めちゃめちゃ凝ってたりするんだ。詰まるとこ、Tシャツはそこが勝負だから、毎回プリントは気合いが入ってますよ、うん。
【脚注】
※1 1994年、滝沢伸介のプロデュースによりスタート。バイカー、ミリタリー、ワークをベースとしたラインナップを展開。
※2 1988年、デザイナー小野塚秋良が創立したファッションブランド。ノリさんも20代から愛用を。現在、〈木梨サイクル〉とのコラボを展開中のまた「CABANE de ZUCCa」は「ZUCCaの小屋」の意。男女を問わないユニセックスさが魅力。
※3 1935年、ブラジルのマリャリーア・サンタイザベル社より誕生。1958年にはセレソンことブラジル代表チームのオフィシャルブランドに。ノリさんがサッカー部に在籍した’70年代当時、日本ではまだ希少だった。
【定番品解説】
写真は祖師谷ジャパン発〈木梨サイクル〉のシンプルロゴTの第3弾。ノリさん仕様のMサイズで身丈約70、身巾52、肩巾47、袖丈20cm。カラーはネイビーとホワイト。ほかバリエーション多数。価格帯も3000円前後とオ・ト・ク。現在はイタリアの玩具「ロディ」や懐かしの駄菓子「クッピーラムネ」など、コラボ商品も続々!
PROFILE
1962年3月9生まれ。東京都出身。帝京高校の同級生・石橋貴明ととんねるずを結成。若者のカリスマ的な存在となり、今も絶大な影響を与え続ける。また’94年から絵画展をスタート。
昨年から活動20周年を記念した「木梨憲武展×20years INSPIRATION‐瞬間の好奇心」を開催。
オフィシャルサイトはwww.kinashi-cycle.com
Text:Tatsunori Hashimoto