メロコアなどの影響を受けたストレートにカッコいい楽曲・演奏と、拠点とする街・大阪ならではのボケが満載の歌詞&MVで、若い世代を中心に人気急上昇中のバンド・ヤバイTシャツ屋さん。インタビューの中編では、バンドの音楽的ルーツや結成までの経緯、メンバー3人の他己紹介などをお届けする。
――こやまさんは岡崎体育の『MUSIC VIDEO』の撮影監督もやっていますが、岡崎体育は中学時代の先輩だそうですね。その岡崎体育や、『MUSIC VIDEO』の映像にも少し出ていたラッパーのR-指定も関西出身で、歌詞がとても面白いですけど、ヤバTの歌詞やスタイルにも関西ならではのノリがあるように感じました。
こやま どうしてもボケたり、ツッコんだりしたくなるんでしょうね。きっと性(さが)なんですよ。
――最近は関西圏以外の場所でライブをする機会も増えたと思いますが、お客さんのウケ具合はやっぱり違いますか?
こやま どうですかね。むしろ関西より関東とかのほうがウケがいいような気がします。
もりもと たぶん関東の人には新鮮なんじゃないですかね。大阪とかだと、みんなごく普通にボケたりツッコんだりしてるから(笑)。
――ヤバTは音楽性の部分では、ジャンルでいうとメロコアなどがルーツというかベースになっていると思うんですが、ボケをどんどん入れていく歌詞は、何から影響を受けたんですか?
こやま たぶん四星球(※)やと思いますね。初めてライブ見たときに、「あ、バンドでこんなにフザけてもいいんや」って驚いて、ああいう楽しいことをできるバンドやれたらいいな……って思っていました。
※四星球(スーシンチュウ)……2001年から活動行うバンド。キャッチフレーズは「日本一泣けるコミックバンド」。ブリーフ一丁×法被のスタイルでライブを行う。
――その面白い歌詞と、メロコアのカッコいい音楽という組み合わせが新しかったんでしょうね。このヤバTのスタイルはすぐにみんなウケてくれましたか?
もりもと いやいや。全然滑り散らしましたね。
こやま 最初は大学内でしか活動していなくて、その頃はホンマに滑り散らしました。で、ライブハウスに出るようになってから、じわじわと広まっていった感じです。
――岡崎体育は『MUSIC VIDEO』のMVをきっかけにブレイクしましたけど、こやまさんが撮影監督をしていた……ということが知られて、ヤバTのほうに影響とか変化はありましたか?
こやま ないですね。でも岡崎体育と僕らはAKB48と乃木坂46の関係みたいな感じで、公式のライバルです(笑)。仲はいいんですけどね。
――こやまさんはバンドより先に、MVを作ったりといった裏方の側の仕事をしていたんですよね。
こやま そうですね。もともと映像の仕事をずっとしていて、今もその仕事をしながらバンドをやっているので、人前に出て大きい声出して歌っている状態が、自分でもけっこう謎です。「なんで自分、こんな大きい声出してんやろ」って心配になったり。
――そもそもバンドが始まったきっかけも、大学の先輩が「今度ヤバイTシャツ屋さん行きまーす!」と言っていたのをこやまさんが聞いて、「ヤバイTシャツ屋さんってバンドやりたい」と思いついて始まったんですよね。それで声がかかったのが後輩のお2人で。
しばた こやまさんが「ちょっと『ヤバイTシャツ屋さん』ってバンドがやりたいねん」って言ってたので、それは叶えてあげなきゃ……と思って協力しました(笑)
もりもと こやまさんは僕の一学年先輩なんですけど、バンドで学祭に出たいってずっと言ってたので、「じゃ、先輩の言うことやし」って感じでしたね。「ヤバイTシャツ屋さん」ってバンド名だけ先に決まってたんですけど、どんな方向性のバンドなのかとか、こんなジャンルの音楽だとか、何の情報もなくて(笑)。でも、「最初の曲は『ネコ飼いたい』やから」と聞かされて、「あ、そういう方向性なんだ」って理解できました。
――学生時代の3人はどんな感じだったんですか?
もりもと こやまさんは、まぁ、こんな感じでしたね。
――やっぱり面白い人というか。
こやま 知的な感じやね。
もりもと 「俺は周りとは違うぜ」感は出してましたね。
こやま 一匹狼やったからな。
もりもと でも、輪に入りたそうな雰囲気もあるんです(笑)。こやまさんの住んでた家の前には川が流れてて、よくサークルのコがバーベキューをしてたんですけど、こやまさんはフラーッと来て、なんか円の中と外を行ったり来たりしてて。
しばた 「入っていいんかなぁ」みたいな雰囲気で、かわいらしいタイプの狼でしたね。さみしそうな一匹狼って感じです。
――(笑)。そして最終的にヤバTで一緒に音楽をやるようになったと。
もりもと 初めてコピーバンドで誘っていただいたのもこやまさんなんですよ。その頃はコピーバンド以外にも、こやまさんの映像作りをしばたが手伝ったりとか、僕が声の出演で協力したりとか、いろんなことで関わっていました。
しばた こやまさん、恥ずかしがり屋で知り合いがおらんからね。何するにも、ここの2人が絡んでくる。
こやま そう。ここ、頼らんとできひん(笑)。
もりもと ちょっとは感謝してほしいなぁ。
――こやまさんから見てしばたさんはどんな人なんですか?
こやま 何やろう。ハロプロ好きですね。
しばた 今日もTシャツ着てます!
こやま で、もりもとくんは、静岡の出身で優しい子です。あと最近、なんか女性になりたいらしくて。
しばた 肌も白くしたいらしくて。
もりもと 待って!待って!語弊がある。
しばた でも女性に憧れがあるんですよね?
もりもと ちょっと、違うんです!
こやま 「究極の男性を追求したら女性になる」って言って聞かないんですよ。
もりもと 僕、昔のロックスターがすごく好きで。彼らって、男臭いのにセクシーじゃないですか。男を突き詰めたら、まず女性っぽくなるっていうのが、持論なんですよね。
――デヴィッド・ボウイみたいな。
もりもと そうですね。フレディ・マーキュリーとかも、タイツ着ててもセクシーなんです。だから男が化粧をして街を歩く時代がそろそろ来てもいいんじゃないかと……って俺、何の話してんの?(笑)
■■プロフィール
ヤバイTシャツ屋さん
大阪を拠点に活動する、こやまたくや(Gt.Vo.)、しばたありぼぼ(Ba.Vo.)、もりもりもと(Dr. Cho.)による3人組自称メロコアバンド。2013年に大阪芸術大学在学中に結成。躍動感あふれるパフォーマンスとストーリー性のある歌詞で50代女性をターゲットに活動中。
●初回盤(CD+DVD)
UMCK-9903
¥1,500(税抜)
※デジパック仕様
●通常盤(CDのみ)
UMCK-5623
¥1,100(税抜)
※デジパック仕様
【収録内容】
※初回盤・通常盤ともに共通
1.ヤバみ
2.寝んでもいける
3.肩 have a good day
4.ヤバみ(岡崎体育 remix)
【初回盤DVD収録内容】
●ヤバイTシャツ屋さんのどうぶつえんツアー
Photo:TAKAYUKI MISHIMA/Hair&Make:Storm[P-cott]/Interview:SEIICHIRO FURUSAWA