2018.03.08 Thu UPDATE INTERVIEW

主演映画“冬きみ”の撮影中、岩田剛典は夢の中でなんとアノ人と…!?

2016年に主演作『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。甘いマスクを活かした役柄で、役者としても人気と評価を高めた岩田剛典。3月10日[土]に公開する映画『去年の冬、きみと別れ』では、そんなイメージとかけ離れた壮絶な役を演じきって見せた。『Men’s JOKER』3月号では同映画についてのインタビュー記事を掲載したが、スペースの都合上、割愛せざるをえなかった内容を含めた完全版を特別公開する!
 

 
――『去年の冬、きみと別れ』、試写で見させていただきまして、「本当にすごい役を引き受けられたな」と思いました。岩田さんも過去には出演したことのないタイプの映画で、演じたことのない役ですよね。

役柄の難しさも相まって、「自分にこの役が演じ切られるかな」っていうプレッシャーはありましたね。でも、いただいた台本がとてもおもしろく、このような作品と出会えることは表現者人生でもそうないことだと思ったので、気合いを入れて撮影に望みました。

――楽しみもありつつ、不安もあったわけですね。

期待半分、不安半分でしたね。ただ、瀧本(智行)監督との顔合わせの時に、瀧本さんには明確に見えている画があることと、この作品にすべてを捧げる覚悟があることを感じたので、監督にすべての熱量を捧げようと思いました。

――岩田さん演じる記者の耶雲恭介(やくもきょうすけ)が、不可解な猟奇事件を追ううちに深い闇に引きずり込まれていくこの映画は、ストーリーの展開だけでも本当におもしろいですよね。

出演した僕が言うのは手前味噌のようですが、本当におもしろいです。さまざまな仕掛けを作りながら、原作の良さを損なわず、本当によく映像化されているなと思いました。小説もファンがたくさんいる名作ですが、そのファンの方々にも「良くできているな」と感じていただける作品だと思います。後半はいろいろな伏線や謎が回収されていくので、エンディングには映画らしい快感もありますし、友達と観に行った場合は、「あの人ってああだったのかな?」みたいな答え合わせも楽しめる。「もう一回観に行こうかな」という気分にさせられる作品だし、その会話でメシが進みそうな映画というか(笑)

――耶雲恭介の役は、職業や立ち振舞い、話し方も、これまで演じられた役とはまったく違いますよね。

事件を実直に追う姿勢や、立ち姿、話す早さなどは、監督と話し合いながら決めていきました。あと大事にしたのは、記者として事件の謎を追う熱量です。時系列をバラバラに撮影した部分もあり、そのときどきで耶雲の芝居も変わってくるので、その点でもしんどい現場でしたね。

――夢の中に監督が出てきたそうですね。

あー、そうそうそう! ほんとに夢に出てきて、現場で怒られたりしていました(笑)。この映画の撮影期間中は、ほかに大きな仕事もあまりなかったので、撮影がない日もこの作品のことばかり考えていましたね。これまでの出演作の中でも一番セリフが多く、ほとんどの場面に僕が出演しているので、集中できる環境で撮影に臨めてよかったです。

――瀧本監督の現場はいかがでしたか?

最初は自分の考えてきた演技をさせてくださる監督さんで、大丈夫な時は「オーケー。次行こう」とモニターも見ずに進んでいきましたが、イメージが似合わなかったらズバッと言ってくださる方でした。芝居を本当に細かく見ている方で、カメラの脇でずっと僕の演技を見ながら、「話すトーンを落として」「その感情が高ぶる場面では、もっと気が狂ったように」と具体的なディレクションをしていただきました。だから安心感がありましたし、指示をいただいた時も「あ、なるほど」と納得できて。終盤の方では僕も掴めてきたものがあり、監督から演技について指示をもらうことも減っていきました。初号を見終わった終わった後は、監督も「ラストシーンの顔がとにかく良かった」と何度も言ってくださいました(笑)

――何度もと…いうことは、本当に気に入られたんでしょうね。

顔合わせの段階から演出や撮り方が決まっていたシーンだったんです。そのシーンの撮影日は、他の撮影はいっさい入れず、「寝ずに臨んでくれるよな?」とプレッシャーをかけられて。実際に前日は寝ずに現場に臨んだんですが、「充血した血管が浮かんで見えて良かったよ」と言っていただきました(笑)。でも今回の撮影では、監督もご自身をかなり追い込んでいて、会うたびに激ヤセされていましたね。

――岩田さんの演じた耶雲も、物語の進行とともに変化していく役柄でしたが、演じる中でご自身も成長できた現場だったのではないでしょうか。

それは感じましたね。本当にやりがいがありましたし、充実した撮影でした。

――耶雲と仕事をする編集者役の北村一輝さんにも「この役よく引き受けたな」と言われたそうですね。

北村さんは現場では飄々とされていましたね。「いやあ、ガンちゃんは大変だねぇ。オレには無理だわ、そのセリフの量は」などと冷やかされて(笑)。でも、いざ演技する際には「このシーン、何回やっても全然構わないから」と優しく接してくださって、カメラが回る前からじっくり付き合ってくださいました。

――容疑者の天才カメラマン・木原坂雄大を演じた斎藤 工さんも、一緒の場面が多かったと思います。

工さんとは『HiGH&LOW』の現場でご一緒して、プライベートでも食事に行かせていただいたこともありましたが、ガッツリ共演するのは今回が初めてでした。すごく工さんに合っている役でしたし、僕と敵対する事件の容疑者として、本当に大きな存在でした。工さんの存在感は、この映画のひとつの支えになっていると思います。

――こちらはハラハラドキドキしながら映画を楽しめましたが、役者さんの立場を考えると、「物語の真相を知りながら演じるのも大変だろうな」と思いました…(笑)

それはありましたね。でもこの映画は、結末が分かった状態で観てもおもしろいと思うんです。もちろん1回目の衝撃は最高に大きいと思いますが、2回目は2回目で「細かいところまで見てもすごいな」と感心できるというか。作品に緻密に組み込まれた“罠”を、より楽しめると思うんですよね。

――ご自身も完成した映画をはじめて観た時には、そういったおもしろさを感じましたか?

やはり出演した立場なので、自分の芝居も含めてあまり客観視できませんでしたが、すぐに席を立てないほど心に残るものがありました。共演者のみなさんも言葉に詰まっていましたが、一緒に観ていたお客さんたちの拍手がすごくて。そのリアルな反応を知れたことで、安心できた部分はありました。観終わった後まで引きずるものがある骨太な作品ですし、映画好きの方にも気に入っていただけると思います。

――特に後半の方は、観ている自分も狂気の世界に引きずりこまれていくような感覚がありました。

前半の方は、「この話どうなるの…?」という不安や違和感がみなさんにもあると思うんですよ。それを感じながら観ていくと、途中からいろいろな伏線が回収されていって。その展開には気持ちよさがあると思います。映画ならではの起承転結というか、ストーリーの起伏を楽しめる作品で、シンプルに脚本の良さだけでも観られる映画だと思うので、「難しそう」みたいに考えずに観に行ってほしいです。

――また一方で、この作品は「純愛映画」という呼ばれ方をされていますよね。物語の裏側には愛や悲しさもあって、それを抱えながら生きている人たちが魅力的に映る作品でもありました。

サスペンス映画とも言える作品ですが、そのサスペンスの根底にあるのも、愛の力だと思うんですよね。そして究極の愛というものが、人を変えてしまうものであり、すごく危ういものであるといこともこの映画は表現している。それがすごく切なく感じられる作品でもあります。

――そうやって多様な観方ができる本作ですが、これから観る方にはどんなことを意識してほしいですか?

変にサスペンスだと意識してストーリーを追うよりも、自然な態度で映画に接してもらえるといいと思います。僕の演じた耶雲恭介に感情移入して、その気持ちになって観ていただくだけでも、すごく刺さる作品だと思います。この映画は謎解きもひとつの醍醐味ですが、その裏にはすごく切ないストーリーがありますし、「涙を流しました」とおっしゃる方もいて。人の心を動かすエナジーを持った作品なので、難しいことを考えず観ていただきたいです。あと僕のファンの方には、メガネ姿に萌えていただければ(笑)

――真面目な記者という役も含めて、ほかの映画ではまず観ることのない姿ですからね(笑)

いやいや冗談です(笑)。ただ、記者である耶雲の見た目のディテールも、監督はかなりこだわっていましたね。「オレは汗が好きなんだ」とおっしゃっていて、実際いつも汗をかいている感じでした。

――撮影が終わった時に、自分の中で「役者として変わった」と感じる部分はありましたか。

すごくありましたね。瀧本さんは厳しい監督かもしれないですが、役者に愛を持って接してくれて、寄り添ってくださいました。物語としても、演じていて辛さを感じる作品でしたが、瀧本さんとご一緒できて、自分の中で変わったこと、勉強になったことは沢山ありました。

――具体的にはどんな変化を感じましたか。

単純に、本(台本)を読んでシーンをイメージする力がすごく鍛えられました。また、自分の思い描いた到達点が、監督の到達点とズレていても、監督の要望を汲み取って演技に落とし込んでいけるようにもなりました。またセリフの技術的な部分でも、「ここを1回切って」「ここまでバーッとまくし立てて、ここからゆっくりしゃべってほしい」と細かいことを言ってくださる監督さんだったので、役者として経験がまだ多くない自分には、そのひとつひとつが勉強になりました。あまり細かいことは言わない監督さんもいらっしゃいますが、瀧本さんは作品に完璧さを求めていろんなことを言ってくださったので、とてもありがたかったです。

――今までにない役を演じたことで、役者として新たな目標や、「こんな役者になっていきたい」という理想像などは見えましたか。

僕はアーティスト活動をしているぶん、そのイメージが先行した役者活動になる部分はあると思いますが、いろんなテイストの役柄を演じて、いろんな作品に出ていきたいです。今回は「この役をどうして僕に?」と思える作品でしたが、お話をいただけたことがありがたかったですし、出会えてよかったなと思える作品でした。

――同じ三代目 J Soul Brothersのメンバーでも、山下健二郎さんはコメディ風の作品に多く出られていたりと、それぞれ自分の個性を活かした役者活動をしていますよね。ほかのメンバーの活動は刺激になりますか。

なります! 「あー、こういう作品に出てるんだ」と感心しますし、僕はやらないような役を演じているメンバーを見ると、「三代目っておもしろいグループだな」と改めて思います。役者業でも、メンバーの個性が年々強まってきている感じがしますし、「攻めているなぁ」と思う仕事を見ると、刺激をもらいます。普段から仲のいいグループなので、それぞれの先の活動や将来の夢もお互いに共有しているんですが、それを知っている立場からすると、「こういう目標に向けて、今はこの活動をしているんだな」と分かる部分もあるんですよね。みんなが進化していることを実感するたび、「あー、オレも頑張らなきゃ!」っていう気になります。

――その中で岩田さんは、多様なタイプの作品で主役を演じられていますよね。作品ごとに求められるものが違って大変だと思います。

期待に応え続けていきたいですし、今回の作品のようなお話をいただけるのも、過去の作品があってのことだと思います。ひとつひとつの作品が自分を形成していく存在になると思いますし、特に今回の映画は自分の代表作になると確信しています。普段のアーティスト活動とはかけ離れた作品で、かけ離れた役柄を演じていますし、その点ではファンの方にも、そうでない方にも楽しんでいただける作品だと思います。

――今年は三代目 J Soul Brothersの一員として、また個人としてどんな一年にしていきたいですか。

まず個人としては、この作品を皮切りにさまざまな発表が控えているので、より多くの方に活動に触れていただけるよう頑張りたいです。三代目では3枚組のアルバムのリリースが決まっていて、1枚はグループとしてのニューアルバム、残りの2枚はボーカルの今市隆二と登坂広臣のそれぞれのソロアルバムになります。三代目もデビュー8年目に突入して、ボーカル2人の向かう道もより明確になってきています。3枚それぞれの音楽性の違いも楽しめると思いますし、7人のグループとしてのアーティスト性もまだまだ進化しているので、その変化を楽曲やミュージックビデオを通して楽しんでいただきたいです。
 
 
□岩田剛典 プロフィール
1989年3月6日生まれ、愛知県出身。慶應義塾大学在学中の2010年から三代目 J Soul Brothersのメンバーに。2014年4月からはEXILEのメンバーとしても活動する。俳優としては『HiGH&LOW』シリーズなどに出演し、2016年の主演作『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』では日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。今年は『去年の冬、きみと別れ』のほかにも、映画『Vision』、主演映画『パーフェクトワールド』が公開予定。三代目 J Soul Brothersでは夏にアルバム『FUTURE』を発売予定。

 
『去年の冬、きみと別れ』
3月10日[土]より全国ロードショー!

芥川賞作家・中村文則による美しくも切ない傑作サスペンス、遂に映画化! 彼女との結婚を間近に控えた記者耶雲恭介は、本の出版を目指して、盲目の美女が巻き込まれた不可解な猟奇事件と、容疑者の天才カメラマン・木原坂雄大について調べはじめる。しかしその真相に近づくにつれ、いつしか彼は抜け出せない深みに飲み込まれていくことに――。

監督:瀧本智行/原作:中村文則『去年の冬、きみと別れ』(幻冬舎文庫)/出演:岩田剛典、山本美月、斎藤 工、浅見れいな、北村一輝ほか。

(C)2018映画「去年の冬、きみと別れ」製作委員会

 
映画『去年の冬、きみと別れ』公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/fuyu-kimi/

 
 
Interview&Text:SEIICHIRO FURUSAWA
Photo:KAZUKI NAGAYAMA[S-14]
Styling:JUMBO[SPEED WHEELS]
Hair&Make:SHINYA SHIMOKAWA

 

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