2018.10.03 Wed UPDATE INTERVIEW

窪田正孝インタビュー「30代では新しい自分を見つけたい」

昨年は『ヒトヤノトゲ~獄の棘~』(WOWOW)、『4号警備』(NHK)、『僕たちがやりました』(フジテレビ系)といった3本の連続ドラマで主演。今年は『ヒモメン』(テレビ朝日系)、『アンナチュラル』(日本テレビ系)でも印象に残る役どころを好演した窪田正孝が、この夏は映画、ドラマでそれぞれ違った表情を見せてくれた。そして30歳となった今年。今彼は何を思うのか?


 

よりよい40代を迎えるためにも悔いのない30代を過ごしたい

――去る9月8日(土)に最終回を迎えたドラマ『ヒモメン』では、“楽に生きたい”をモットーに、働かないことに全力を尽くす働き方改革時代のニューヒーロー=“ヒモメン”こと碑文谷翔を軽やかに演じ、公開中の映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』では、音楽プロデューサーという表の顔を持ちながら、高杉晋助(堂本剛)率いる武装集団「鬼兵隊」に所属する裏の顔を併せ持つ河上万斉役でスピード感ある剣術アクションを披露。この夏は、同時期にそれぞれ異なる表情を見せてくれました。

窪田正孝(以下:窪田) 『ヒモメン』は、いわゆる“ヒモ男”と“貢(みつぎ)体質”の女性と言うか…働かない彼に尽くす彼女という、世間では煙たがられている題材に焦点を当ててはいるものの、客観的に見てふたりはすごく幸せに見えるところがおもしろいなと思っていました。当人同士にとっては修羅場でも傍から見れば幸せそうに映ることもあるんだなと。だから、ゆり子(川口春奈)と翔の関係を肯定も否定もぜず、“そういう生き方もあるんだ”ということを伝えられることが一番、重要で。カタチはどうであれ、互いに愛情を持っているふたりのやり取りを見て癒されたり。恋愛をしている人たちにとっては、自分たちを見つめ直すドラマになればいいなと思って臨みました。翔ちゃんに関しては、愛されるクズに見えるようやっていければなと。

――『銀魂2』はいかがです?

窪田 『銀魂』は、ほぼほぼ(主人公の坂田銀時を演じる小栗)旬さんと対峙するシーンだったんですけど、なかなかの厳しさでしたね。僕が演じた河上万斉はサングラスにヘッドフォン、背中に三味線を背負ったなかでのアクション。いや~、大変な役でした。

――(笑)、その苦労された大立ち回りは劇場で確認していただくとしまして。

窪田 ここ数年、悩める男子というような役が続いたこともあって、僕自身楽しんで演じました。“これぞエンターテインメント”という作品なので、ぜひ見ていただきたいです。

――昨年は『ヒトヤノトゲ~獄の棘~』(WOWOW)、『4号警備』(NHK)、『僕たちがやりました』(フジテレビ系)といった3本の連続ドラマで主演。ほか主演映画『東京喰種トーキョーグール』などなど大忙しの1年だったと思いますが、今年はどんな年になりましたか?

窪田 今年は結構…もちろん、いろんなお仕事をやらせてもらいながらですけど、休みもあったので、しっかり充電できましたし、考える時間もできてよかったですね。『ヒモメン』に『銀魂』。新鮮な作品、役で20代をリセットすることができたこともよかったと思います。

――8月には30歳を迎えましたが、その「考える時間」では、どんなことを?

窪田 30歳の節目ということもあり、自分を振り返る――みたいな機会があったんですけど、これまでの出演作を全部書き出したら全然、1枚の紙に収まったので、まだまだだなと思いました。数をやればいいとは思わないですけど、「もっと出たい」と思いました。一方では時系列ごとに並べた出演作を追っていった時に、1回お仕事をさせてもらった監督さんなりプロデューサーさんなりにもう1度呼んでいただく作品がいくつかあったので、また使ってもらえたことを単純にうれしく思いましたし、そういう“つながり”の大切さも改めて。また、30代ではさらなる新しい出会いをしていきたい。新しい価値観だとか自分を発見したいという欲も高まったように思います。

――出会いといえば、かつてバラエティ番組で、転機となった作品を聞かれて19歳の時に主演を務めた三池崇史監督のドラマ『ケータイ捜査官7』(テレビ東京系)を挙げられていて。当時、三池監督がおっしゃった「10年後に窪田を選んだ理由がわかる」との言葉を胸にこれまでやってこられたと。

窪田 はい。オーディションをたくさん受けて、落ちてばっかりの頃で。そうしたなか選んでいただいたので、間違ってなかったと証明したいなと思っています。

――「10年後」が今年になるわけですが。

窪田 三池さんは、その後も『十三人の刺客』(’10年)に呼んで下さったり。斎藤工さん主演の『QP』(日本テレビ系)というドラマで使って下さったり、一緒にお仕事をさせてもらう機会があったんですけど、10年かあ…早いですね。またご一緒できれば、当時おっしゃっていただいた言葉の意味をお聞きしたいなあ。いや、でも怖い気もする(笑)。

――’06年に『チェケラッチョ!! in TOKYO』(フジテレビ系)で初主演にして連ドラデビュー。数え間違いでなければ『ヒモメン』が連続ドラマ30本目に当たるんですよ。うち主演作が10本。レギュラー出演した作品のみのカウントですが。

窪田 デビューして12年間で30本は…正直、少ないなと思います。人生、一度きりですから。悔いなくやっていきたいです。これまでも悔いなくやってきたつもりではありますが、30代ではもっともっと、いろんな作品に出て、いろんな役を演じたいなと思っていて。

――その間、30本余りの映画にも出演を。どれだけ働くんですか!

窪田 自分に嘘をつかずにいたいんです。作品選びにしても、現場での“居方”にしても。結果を残すということに対しても。できることは全部やりたいなと思っていて。20代でやってきたことが30代に反映されると思うので、よりよい40代を迎えるためにも悔いのない30代を過ごしたいですね。

――メンズジョーカーのカバーインタビューに登場される30代の俳優さんも同じようなことをよくおっしゃっています。

窪田 根本は芝居が好きなんですよ。休みの間は芝居から離れていたので「やっぱ好きなんだな」と思いましたし。好きなものは、とことんやり遂げて気持ちよくありたいです。自分に対しても人に対しても。そうしていく中で、いただいたものをちゃんと周りに返していけたらと思っています。

――MJのカバー(今年の8月号)には初登場。こうしてお話を伺っていますと、発信力が増したように思います。

窪田 うーん…どうでしょう?

――3~4年前のインタビューをいくつか読んだのですが、謙虚すぎると言いますか、自己評価が低いと言いますか。それがここ2~3年で自分の思いなりを、積極的に周りに発信されているような印象を受けたんです。

窪田 ああ…(納得して)、それは、年齢を重ねていくに連れて、だんだん年下の人が増えてきて。20代の半ばくらいまではよくも悪くも何か言ってくださる方が多かったんですけど…何と言うか、怒られたりする機会が減ってきたんですよね。それで、これじゃイカンなと。ちゃんと自分自身を客観視して、咀嚼して、それを発信してかなきゃいけないなと思って。それがおっしゃった2~3年前になるのかな。何事も筋は通していきたいから、自分が言ったことへの責任を取る意味でも発信していこうと。

――ある種、自分に発破をかける意味もある?

窪田 そうですね。言われたことをやっていればいいという時期は過ぎたと思うので、引き受けた作品のこと、自分のこと。これからのこと。全部がちゃんと達成できるかはわかりませんが、責任を持ってお伝えしていこうという意識は高まっています。

――『ヒモメン』は“働く”という意味を考えるドラマでもあったと思いますが、そのへんの仕事に対する意識は変わりましたか?

窪田 そうですね…20代の前半から半ばにかけて、ある種、自分に酔っていた時期があり(笑)。そこから責任という意味で意識が変わっていき。やりたいこと、楽しいと思うことをやるには積み重ねていくことが大切なんだなとも改めて気付いて。あと俳優って本番になれば孤独な仕事なんですけど、いろんな方がいろんな分野で仕事をしているので、そこを邪魔しないように自分のやるべきことをやる。そういう当たり前のことを当たり前にやることの大切さを、身を持って感じるようになって。目的が自分を満たすのではなく、どうやったら作品を満たせられる自分になれるか? 作品をご覧になるみなさんが満たされることで自分も満たされるようになってきました。だから前みたいに、役に入り込み過ぎるのも少し違うかなと。「自分、がんばりました!」とか言っても、それは自画自賛なだけで観る人には関係ないと思うんです。

――翔ちゃんは、お金はいらない。自分が幸せと思う生活ができればいいという考えの持ち主。窪田さんが俳優として掲げていることや大切にしていることはあるんでしょうか?

窪田 時代なり世の中なりが変わってもそちら側に寄せず、自分のペースでやる。人に迷惑をかけない程度にそれができて、なおかつ長く呼んでいただける役者。そうするなかで、やりたいこと、楽しいことを見つけていければいいなと。

――最後に30代の男性を、どう捉えています? またどうありたいですか?

窪田 いろんな先輩方から「30代は楽しい」と聞くので、それはどういう世界なんだろうっていうのが、今一番気になっていることですね。ご家庭を持っている方、お子さんがいらっしゃる方、本人は自覚していないんでしょうけど、どんどん印象が変わっていくんですよ。周りからの見え方は変わる。僕もいろんな経験をして、今は見えない自分が見つかればいいと思います。

 

窪田正孝 プロフィール

1988年8月6日生まれ。神奈川県出身。2006年、『チェケラッチョ!! in TOKYO』(フジテレビ系)で初主演。以降『デスノート』(日本テレビ系)、『僕たちがやりました』(フジテレビ系)、映画『東京喰種 トーキョーグール』などで主演を務めるほか、連続テレビ小説『花子とアン』、大河ドラマ『平清盛』(ともにNHK)など話題作に出演。現在、初のフォトブック「マサユメ」が発売中。来年2019年2月には舞台『唐版 風の又三郎』で主演を務める。

 

Interview&Text:TATSUNORI HASHIMOTO
Photo:TAKEMI YABUKI[W] Styling:YOHNOSUKE KIKUCHI
Hair&Make:MIKI KASUYA

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